
日本最古の巡礼路で約1300年の歴史を持つ西国巡礼。その十番札所で京都・宇治市にある三室戸寺(みむろとじ)に参ってきた。寺伝によると、宝亀元(770)年に光仁天皇の勅願で創建され、皇族や貴族の崇敬を集めた。
アジサイの名所としても知られ、入り口から山門を抜け本堂に至るまでなだらかな起伏が続き、約5000坪の庭に青、赤、白のアジサイの花が広がっていた。まるで花の絵巻で、都合約50種2万株が植えられている。
庭園からは、高台に宇治の山を背景に立ち並ぶ三重塔や鐘楼が望め、本格的な夏を迎える7月には、重厚な本堂前に蓮の花が咲き誇るそうだ。今月下旬の平日訪問だったが、年配の夫婦らを中心に昼すぎの一時は引きも切らない賑(にぎ)わいだった。
外に出ると一面、茶畑の青々とした若葉が陽(ひ)の光を受けまぶしい。駐車場は京都府外ナンバーの車両でいっぱいだった。
翌朝JR京都駅に行くと、構内を足早に移動する修学旅行の生徒や、駅前に整列する一群の中学生らを見掛けた。夏服に一様にマスクをしておとなしく立っているので話し掛けるのも気を使ったが、千葉県からだという。「学生さんは6月初旬からよく見え始め、今は関東方面からが多い」(駅前のホテル)。
団体の中高生の姿を見ると、京都もいよいよ動き始めたなという感じ。先の三室戸寺や京都駅前周辺では外国人観光客を一人も目にしなかったが、海外から客が来れば、より普段の京都らしくなるだろう。