食料分配所に長い列 オーストリアから

食料無料分配所に連日早朝から、多くの人々が長い列をつくる。戦時の風景ではない。オーストリアの首都ウィーンでの平時のことだ。慈善団体が、物価高で生活食料品を買えない低所得者や移民たちに食料を配っている。最近はウクライナの避難民も、その列に加わってきた。オーストリア政府から支給される難民支援金だけでは十分ではないからだ。

中年の女性は「列に並ぶことに正直言って抵抗があったが、子供たちのことを考えれば、そんなことも言っておれない」と言う。カリタスで奉仕活動をしている若いボランティアは、準備した食料袋が全てなくなったので、子供連れの若い女性に「もうない」と言うと、悲しそうな顔をして去って行ったという。「その後ろ姿を見て、切なくなった。だから、明日早朝には食料がまた入るから、早く来て列に並べばいいよというのが精一杯だった」と話していた。

独週刊誌シュピーゲルによると、欧州一の経済大国のドイツでも同じような風景が見られるという。高齢者の婦人が最後の一つの食料袋を他の婦人と言い争って奪い合っていたというのだ。1年前では考えられない状況だ。

食料分配所ではスーパーで売れ残った商品をもらって低所得者に配っていたが、スーパーでも賞味期限が切れた商品を低価格で売る所が多くなったこともあって、食料が十分集まらなくなったという。オーストリアの5月のインフレ率は、7・7%だった。低所得者や一人で生活している学生にとっての生活事情は厳しい。(O)