ネパール人から日本のネパール料理店について話を聞く機会があった。名前はネパール料理であるが、実際は、「ネパール風」料理であって、日本人の口に合うように変えられた、いわば偽物のネパール料理であるという批評であった。
ネパール人からしてみれば、故郷を遠く離れて懐かしいネパール料理の味を楽しみたいと思って入った料理店なのに、実際には、ジャパンナイズドされた料理が出てきてガックリだったのだろうという光景が目に浮かぶ。
しかしながら、当のネパール料理店としては、店を訪れる多数派であろう日本人の口に合った料理を提供しなければ、ただでさえコロナ禍の影響もあり、売り上げが伸びず、死活問題になることは目に見えている。日本人の口に合うように味付けを試行錯誤して味を定着させていったのであろう。
さて、アフターコロナで日本でも海外からの受け入れを増やしており、数年前からは留学生を筆頭として、多くのネパール人が日本に在住するようになってきた。車にハイブリッド車というガソリン・電気折衷型の車両があるように、ネパール料理店においても、日本的な味付けの料理と純ネパール的味付けの料理の両方を提供できるハイブリッド的なネパール料理店ができればと思う。
ネパールの故郷の味を楽しみたいというネパール人も満足できる素晴らしいネパール料理店にグレードアップできるのではないだろうか。(T)