参院選が近づき、多くの世論調査結果が公表されている。岸田文雄内閣の支持率は高く、政党別でも自民党が4割前後で、野党は1桁にとどまっている。
特に、昨年秋の衆院選前(10月初旬)の調査と比べると、野党第1党の立憲民主党が支持率を落とす中で、日本維新の会の伸びが目立つ。読売新聞では立民7%、維新2%だったのが5月調査では立民4%、維新5%と逆転。NHKでは立民6・1%→5・0%に対し、維新1・8%→3・5%と順位は変わらないが、差は大幅に狭まった。
もう一つの特徴は、ロシアによるウクライナ侵攻によって、有権者の関心がコロナ禍対策から外交・安全保障に大きくシフトしたことだ。
複数回答できる読売では昨年10月、政府が取り組むべき優先課題として景気雇用91%、コロナ対策85%、社会保障77%が3本柱で、外交安保は72%で4番目だが、少子化対策や環境とも僅差だった。だが5月は、参院選で重視する政策として景気雇用83%、社会保障78%に続き、外交安保が75%で、コロナ(52%)や環境(67%)、少子化(65%)を引き離して3位となった。
こんな背景のためかもしれないが、立民は14日、「自衛隊員応援議員連盟」を発足させるという。会長に枝野幸男前代表、呼び掛け人に泉健太代表や野田佳彦元首相などが名前を連ね、自衛隊員の処遇の改善策等を検討していくのだとか。本気なら、いいことだ。
処遇の最大の問題は、憲法に自衛隊の存在根拠が明記されておらず、解釈によって成り立つ行政組織でしかないため、軍人としての処遇を受けていないことだろう。憲法に存在の根拠と権限、その限界など明確な規定を置いて、軍人としての地位を確定することが、最大の処遇改善であり、党名に掲げる立憲主義にふさわしいはずだ。
(武)