近所のパン屋に入ったところ「働き方改革のため、何日と何日は休業します」と貼り紙がしてあった。土日が定休日のその店、さらに今月は2日休みにするので、その理由も告知したのだろう。
個人経営の小さな店だが、美味(おい)しくて値段も手ごろとあって人気がある。新型コロナウイルス対策で入店者を3人に制限しているため、午前中などは店の外に3~4人の列ができたりする。夕方6時ごろの閉店時間前に売り切れとなった場合は、早々と店じまいする。
労働時間を無用に長くせず、フードロスも極力なくす。40歳前後の店主は新しい考え方の持ち主なのだろう。
デニッシュに加え、食パンもそこで買うようになった。食パンは余計なものが入っていないので、飽きないし安心して食べられる。スーパーの大手メーカーの商品からは自然と遠ざかっていった。
食パンは18世紀の英国で誕生した。それまでパンは各家庭で焼いていたが、労働者が都市部に集まるようになり、大量生産したのが始まりという。当然、パンの美味しさは損なわれた。産業構造と働き方が食文化を変えた。
働き方改革の目指すところは、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)にある。それが生産性や仕事の質の向上に繋(つな)がれば言うことなしだ。ただ個人事業主と違って大きな会社となると、失敗した場合のリスクも大きく、簡単にはいかない。各業種で他の会社が追随できる成功例が生まれるのを期待したい。