犯罪者の2人に1人が再犯者で、再犯を重ねる者も少なくない。犯罪自体の数は減っているのに、なぜ再犯を防げないのか。そんな疑問から明治以来、115年ぶりに刑罰の在り方が変えられる。
懲役刑と禁錮刑を「拘禁刑」に統一し、従来の懲罰から「改善更生」を重視する。労役だけでなく更生のための教育を義務付け、受刑者個々に更生プログラムも考える。そんな刑法改正案が近く国会で可決される。
それはよいとして、刑務所の中だけで果たして更生できるのか、ふと疑問が湧いた。それで以前の犯罪白書を繰ってみると、2009年版白書は家族が同居していた場合、再犯率が半減するとし、11年版白書は少年院に家族が面会に来た回数が2回以上では再犯率が下がったとしていた。
14年版白書は万引き(窃盗)の再犯率が最も高かった65歳以上の女性について家族との疎遠などが再犯の背景にあるとし、経済よりも「家族の絆」の喪失を問題視していた。
少年凶悪事件を分析した『重大少年事件の実証的研究』(01年、司法協会)は、加害少年の両親の「夫婦間の葛藤」(仲が悪い)や愛情不足が子供たちを蝕み、凶悪犯罪に至らせると指摘している。
こうしてみると「家族」が犯罪防止のキーワードとして浮き上がる。設置法案が近く成立する「こども家庭庁」では当初、名称から「家庭」を外そうとする企てがあったが、刑法改正ではどうだろうか。家族を軽んずれば犯罪者天国と化す。