英国でエリザベス女王の即位70年を祝う「プラチナ・ジュビリー」が始まった。テレビ中継からも祝賀ムードが伝わってくる。盛大なパレードには参加しなかったが、バッキンガム宮殿のバルコニーからお祝いの群衆に笑顔で応える女王の矍鑠(かくしゃく)とした様子は、96歳とは思えない。
清々(すがすが)しい水色のスーツがまたお似合いだった。女王は以前、なぜ明るい色の服を着るのかと尋ねられて「私がベージュを着たら、誰も私だと気が付かないでしょう」と語ったという。ユーモアとウイットのセンスも、さすが女王陛下と思わせる。
英国やヨーロッパでは、かなり年を取った女性でも赤や黄色など、日本人の感覚からするとかなり派手な色を着ているのを見掛ける。だから女王の服の色に違和感を覚える人は少ないだろう。
翻って日本の場合、年寄りは地味な色というのがほとんど決まりのようになっているが、必ずしもいいことではないのではないか。利休鼠(ねずみ)の渋好みの美意識の影響もあるのだろうが。
エリザベス女王は、70年前の即位戴冠式で「命ある限り、私はこの身を捧(ささ)げてあなた方の信頼に応えられるよう努めます」と宣誓し、それを貫いてきた。その間、英王室を揺るがすさまざまな問題もあったが、的確な判断で乗り越えてきた。女王が深く敬愛される理由は、何より国家と国民への献身にある。
年月を積むほどその輝きは増し、プラチナの輝きに至った。だから、明るい服がお似合いなのだ。