【上昇気流】(2022年5月23日)

武漢ウイルス研究所の石正麗氏=2017年2月、中国湖北省武漢市(AFP時事)

新型コロナウイルスが人工的に作られ、中国・武漢ウイルス研究所(WIV)が発生源である可能性を、米国防情報局のベリエ局長が公式の場で初めて明かしたことが、米紙ワシントン・タイムズに出ている(小紙19日付国際面)。

主に中国軍が行っていた実験に関連する情報の分析に基づくもので、2003年に中国国内で発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)は、遺伝子組み換えが行われたコウモリウイルスが原因だったという。

今回の記事に加え、①WIVは、コロナウイルスに挿入されれば、人間への感染力が高まる「フーリン切断部位」の研究計画を進めていた(小紙21年10月4日付)②コウモリは新型コロナに感染しにくく、人への直接の感染源となる可能性は低い――という事実などが発生源特定の根拠になっているとみられる。

ただWIVの研究者石正麗氏らが、所内で遺伝子組み換えにより新型コロナが作られたことを依然として否定していて、遺伝子操作の直接的証拠がつかめていない。

事実解明に向けた取り組みは一段と進んでいるものの、今回のベリエ局長の証言は、米国当局が発生源について一致して断定できない、そんな苦衷、焦りもうかがわせているように思う。

米国はパンデミック(世界的大流行)の教訓を生かし、ウイルスの取り扱い、研究内容、安全基準などについて、さらなる国際ルールを先導して作る時だ。第二、第三のコロナ禍発生を阻止するために。