「こどもの日」、毎年総務省が子供数を発表する。子供数の激減ぶりに加えて、今年は日本の子供の幸福度の低さを取り上げるメディアが目立った。
ユニセフの幸福度調査によると、日本の子供の精神的幸福度は38カ国中、37位である。
日本の子供は他国と比較すると自己肯定感が低いと言われている。こうした日本人の特性が反映されたとしても、37位は低過ぎるという印象を持った。
ちなみに直近の世界幸福度ランキングで日本は149カ国・地域中54位である。26位台湾、32位コソボ、38位ブラジル、45位ニカラグアより低く、53位ウズベキスタンの次である。
子供の幸福、ウェルビーイングに社会の関心が向き始めたのは素晴らしいことだが、幸福感というのは主観的なものである。同じ境遇にあっても幸福と感じる人もいれば、不幸と感じてしまう人もいる。要するに比較の問題でもある。
加えて、文化背景が異なる世界比較調査では測定する指標によってもランキングが全く違う結果になる。
毎年3月8日、世界女性デーの頃、日本のジェンダー平等指数がよくメディアで取り上げられる。世界経済フォーラムが発表する「ジェンダーギャップ指数」によると156カ国中、日本は120位。
ところが、国連開発計画が毎年発表する「ジェンダー不平等指数」では、日本は162カ国中24位で英米よりも上位にある。つまり男女の不平等数値が低い。
もっと不思議なのは、ジェンダー平等が遅れているとみられている日本は女性の幸福度が男性を大きく上回っているということである。
つまり、指標の取り方で数値はこんなに変わる。根拠の薄いランキング調査に一喜一憂する必要はないが、それを必要以上に大げさに取り上げるメディアもどうかと思う。
(光)