
大型連休の一日、東京都調布市にある神代植物公園に出掛けた。先回やって来たのは秋で、カラマツの紅葉が見事だったが、今は初夏。新緑に萌(も)えて、草木が勢いよく成長する季節になったと実感する。
園内の一角ではジャーマンアイリス展が開かれていた。虹の色すべてを持つという豊富な花色は西洋的。ルーツはハナショウブと同じノハナショウブだが、日本の花との違いは風土によるものなのか、美意識によるものなのか。
「サツキとツツジはどう違うの?」と同行者に聞かれた。「5月に咲くツツジだからサツキというのです」と当てずっぽうで答えた。間違っていなかった。サツキは遅咲きなのだ。
ツツジの種類は多いが、だいたい開花期は終わり、サツキだけが莟(つぼみ)で出番を待っていた。つつじ園の隣はしゃくなげ園で、こちらはヒマラヤスギの下で深山の趣。両者は姿かたちがどこか似ていて、同じツツジ科なのだ。
山野草園を歩いていると、植物を配置してある造園手法が実に自然な感じだ。多種多様の植物を集めて、すべて生かすためには、植物ごとのふさわしい環境が不可欠。この環境づくりが大事なのだ。
これから見頃を迎えるのはバラ。ばら園は噴水を中心にした広い西洋風ガーデン。剪定(せんてい)から施肥、除草、病害虫の防除と手のかかるエリアだ。約400品種あるが、大輪のハイブリッド・ティー系のバラが咲き始めている。美しい花の数々。6月下旬まで見頃だ。