芸術もロシアの標的に フランスから

フランスは、ロシア軍のウクライナ侵攻で美術館が脅威にさらされていることを受け、ウクライナの美術・文化研究者を支援している。研究者たちがフランスに避難し、研究を安心して継続できるよう国を挙げて支えていく構えだ。

同時に、美術館、博物館の作品の移動も支援している。欧州での戦争では、ドイツのヒトラーのように美術品の強奪が必ず起きるからだ。とはいえ、手遅れの例も少なくない。

ロシア軍は、首都キーウ北西のイバンキフ市の歴史郷土史博物館を破壊した。ウクライナの民俗芸術家マリア・プリマチェンコによる25枚の絵画が灰となった。彼女はウクライナの素朴派の代表格の画家だ。パリにいたピカソは彼女を賞賛していた。

米国の国際博物館会議委員会によれば、ロシア軍は意図的にこの博物館を爆撃し、焼き払ったという。目的はそこに保存されている重要な歴史遺産を破壊することで、ウクライナ人のアイデンティティーの一部を奪うことだったと指摘している。同博物館のあるビーシュホロド歴史文化保護区の所長は「取り返しのつかない損失」と言った。

ウクライナの歴史的文化遺産を、国外に退避させる活動に関与する関係者の話は興味深い。「ウクライナに残る歴史的文化遺産の保護は、ロシアが勝手に歴史を捏造(ねつぞう)することを阻止する意味がある」という。ユネスコ世界遺産センターによれば、衛星画像の分析等で、4月上旬時点で約100の歴史文化遺産の建物が破壊されたという。(A)