米電気自動車大手テスラの最高経営責任者であるイーロン・マスク氏が米ツイッター社買収に成功した。買収の目的はさまざまだろうが、ツイッター社が投稿者を監視しながら、その評価を自在に上げ下げしている点に疑問を持ったことも一因だ。「評価の根拠が分からない。恣意(しい)的なのではないか」との疑念はあったようだ。
ツイッター社に限らず、意味不明の表現が最近多い。テレビのCMで「業界ナンバーワン」と叫ぶことが多くなった。だが、何がナンバーワンなのかよく分からない。
数十秒のCMだから詳しい説明は不可能。「何かが業界ナンバーワンらしい」としか理解できない。根拠があるのかないのかそもそも分からないから、恣意的かどうかも不明だ。曖昧な情報の垂れ流しが毎日続いている。
インターネットで見たケース。ある人材紹介会社の宣伝文句では「就職率96%」と表示した事例があった。だが「96%」は特定の一時点に限って集計された数字だった。
消費者庁が調べたところ、その会社の仲介で企業に就職した人の割合は、昨年度全体で15%程度だった。「96%」と「15%」では落差が大き過ぎる。
この情報の確度は「〇〇は人気があるらしい」といった風評と変わらない。「数字が示しているのだから正しいだろう」と受け止めてしまう場合もあり得る。「100%公正な評価」は神ならぬ人間社会にはあり得ないとしても「実態を反映した評価」を目指すべきなのは当然だ。