トップコラム【上昇気流】(2022年4月5日1)

【上昇気流】(2022年4月5日1)

風なびくこいのぼり

ゴールデンウイークはきょうで3日目。初日の4月29日はあいにくの雨で肌寒かった。東京・吉祥寺に出掛け、雨で人出は少ないだろうと思っていたら、家族連れや若いカップルなどで混雑していた。

ここ数年、新型コロナウイルス禍でなかなか旅行やレジャーに出掛けられなかった反動もあるかもしれない。NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で人気の鎌倉も人出が多かったようだ。視聴率を取りにくい鎌倉時代が舞台であるにもかかわらず、視聴者を引き付けたのは、やはり脚本を担当した三谷幸喜さんの力である。

仏像彫刻で有名な運慶らも美術番組などで取り上げられ、その力強い表現が改めて注目されている。芸術や文化は孤立したものではない。時代の変わり目に優れた芸術家が出現するのはそれを象徴している。平安時代から鎌倉時代への移行期は激動の時代であり、表現にもそれが反映されている。

天平時代から平安時代までの仏教文化は、おおむね鎮護国家という巨大プロジェクトで造形され、繊細な阿修羅像と巨大な東大寺の大仏に象徴されるように貴族文化を体現している。

それに対して運慶の仏像はドラマチックで、感情表現が豊かで、激動の時代を表すような躍動感がある。そこに権力が貴族から武家へ移行した転換期を読み取ることができる。

ロシアのウクライナ侵攻などで世界情勢が流動化した現在、芸術文化もそれを体現した表現が生まれてくる可能性がある。

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