学年担任で児童を見守る

第四葛西小学校ホームページより

先日、東京都江戸川区の第四葛西小学校(永浜幹朗校長、教員36人、児童742人)で行われた「小学校における教科担任制の導入と効果的な運用」という教育関係者の勉強会に参加した。

昭和30年代に生まれた筆者の時代は学年4クラス、5クラスは当たり前だったが、同校は学年4~3クラス。首都圏では就学児童の減少で学校の統廃合が進み、大規模の部類に入るという。学級担任はいるが、学級担任、教科担任を含めた“学年担任”が全児童を担任として複数の目で見守るという。

もちろん、算数、社会、理科などの教科担任制を敷いて、児童の学力の向上に努めることが主である。

自分は、小学生の頃、ただ背が高いだけで、物おじする子供だった。どちらかというと、今でいう“いじめ”の対象だった。宿題はやってこない、提出物はよく忘れるという“だらしない”児童だった。おまけに蓄膿(ちくのう)症で「青っぱな」を垂らしている。担任からは厳しく指導されることが多く、何をするにも、やる気のない“落ちこぼれ”だった。

そんなやる気のない児童に転機がやって来た。学校から数㌔離れた臨済宗のお寺で行われた夏休みの「林間学校」で脱ぎっ放しで、バラバラになったスリッパを揃(そろ)えていたところを同じ学年の他学級の教員が見ていた。児童全員が集まった朝の会で、「〇〇組の〇〇君は人が気付かないところで、黙々とスリッパを揃えていた。こういう人も世の中必要なんだ」と褒めてくれた。

それをきっかけに何か、やる気が出てきた。小遣いで参考書を買ってきて、勉強を始めたり、ソフトボールやサッカーにも力を入れるようになった。五十数年前の思い出だが、複数の教員が見守る教科担任制、学年担任制において、「やる気スイッチ」の入る児童が少しでも増えればと思う。

(和)

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