【上昇気流】(2022年4月24日)

菜の花

「行き行けど菜の花の黄の地平線」(藤丹青)。菜の花は黄色という色彩だけでインパクトがある。種からとろりとした油が取れるというのは、花を見ただけではなかなか結び付かない。

司馬遼太郎の小説『国盗り物語』の中で、「国主になりたいものだ」という後の斎藤道三が、美濃の国を乗っ取る話が出ている。その成り上がりの時代、油商人として、油をたらりと銭の穴を通して売る妙技を披露するシーンがあった(菜種油ではなく荏胡麻(えごま)油という説もある)。

一読した時は、そんな手品のようなことができるのだろうかと思って今でも強く印象に残っている。ただ油を売るのではなく、人目を引くパフォーマンスをして宣伝したということだろう。

菜の花はアブラナ科アブラナ属の花の総称である。タンポポと同じで西洋種があり、セイヨウアブラナと呼ばれ、明治時代に移植された。その意味では、道三が商売していた油はそれ以前のものである。

菜の花は食材としても知られ、今の時期にはスーパーなどでよく見掛ける。天ぷらにしても炒めてもいい。やや苦みがあるのはフキノトウと同じ。その苦さが春を実感させてくれる。

黄色には人を元気にする心理的効果があり、春にふさわしい花と言える。そういえば、ロシアによる侵攻が続くウクライナの国旗は青と黄の2色である。一般的には「青の空と黄の麦畑」を意味するが、平和な春を強く願う心がそこにあると感じる。

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