本格的介護に備える

高齢者とヘルパー

筆者の年代になると、同僚や知人との共通の話題として親の介護の話が増えてくる。

筆者の母は6年以上実家で独り暮らしをしている。これまで同じ市内に住む親族に助けてもらっていたが、しばらく前から物忘れがひどくなり、同じ話を繰り返すようになっていた。

妻からは母を呼び寄せることも考えた方がいいかもと言われたが、母の性格からして馴染(なじ)みのない土地に暮らすのは難しいと却下。実際、妻が仕事先で出会った人は親を呼び寄せたものの生活に馴染めず、結局田舎に帰ってしまったという。

幸い、母のかかりつけ医が動いてくださり、地域包括支援センターを通じてケアマネージャーをお願いすることができた。恥ずかしながら筆者はそのような流れさえ十分理解していなかったのである。

その後、とにかくコミュニケーションを増やそうと、母への電話を朝夕の1日2回にした。それと共に効果が大きかったのが、週2回、ホームヘルパーに来てもらったことだ。人によって合わないこともあると聞くが、母の場合は相性が良かったようで、電話越しにも元気を取り戻したことが分かり、ひとまずは安堵(あんど)している。とは言っても、万事が解決したわけではない。

介護や看護を理由に離職する人は、1年間およそ10万人。年代では男性が50~54歳、女性では60~64歳の割合が高い(厚生労働省、2019年)。2006~08年ごろが約5万人だったから、2倍に増えたことになる。

今後、多くの要介護者が在宅介護を選択すると予測されている。その一方で、今の介護保険制度では要介護者に同居の家族がいる場合は訪問介護を受けられなかったり、家族介護に公的な支援が薄いといった問題があるという専門家の指摘もある。

「親孝行をしたいときに親はなし」と言う。今までの不足を反省し、実家に戻る選択肢も含めて備えておかなければならないと思う。(誠)

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