今年の4月は、ユダヤ教のペサハ(過ぎ越しの祭り)、キリスト教のイースター(復活祭)、イスラム教のラマダン(断食月)が重なるという珍しい月になった。
ユダヤ教徒はペサハの1週間、イースト菌の入ったものは一切食べない。小麦粉類は、パンやパスタ、お菓子も含め全て店頭から消え、マッツァ(種入れぬパン)と呼ばれるクラッカーのようなものを食べる。
キリスト教徒はイースターまでの40日間、肉や卵、乳製品を断つ。食事を1日1食にする人もいる。
イスラム教徒はラマダンの1カ月間、日の出から日没まで断食する。水も飲まないし、自分の唾さえ飲み込まない。
このように、3宗教がそれぞれの戒律にのっとって食事制限をしたり、慈善活動をしたりしてこの期間を過ごす。
しかし、残念なことにイスラエルでは、ラマダン前からテロが頻発している。
そんな巷(ちまた)の緊張をほぐし、希望を与えてくれる子供たちがいる。東エルサレムにあるアラブ人学校のバスケチームの子供たちが、ヘブライ語で「ペサハ・サメアフ(ペサハおめでとう)」と、ユダヤ人学校のバスケチームにビデオメッセージを送った。ユダヤ人のチームは、アラビア語で「ラマダン・カリーム(ラマダンおめでとう)」と返信した。共通のスポーツを通じた人種や言語を超えての交流だ。
それぞれの宗教にも共通な点はある。信仰を捧(ささ)げているこの月に、互いに共通点を見つけて交流を深めてほしいものだ。(M)