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ロシア軍のウクライナ侵攻以降、同国の原発の安全管理は非常に悩ましい問題だ。
どの国も原発の建設や運用についてはほぼ国策となっており、大小にかかわらず事故情報の詳細なデータ、人材などについて日ごろなかなか外部に知らせようとしない。ウクライナの場合も同様だろう。
こうした中、国際原子力機関(IAEA)は、ロシア軍に占拠された南東部ザポロジエ原発を含む稼働中の原発全4カ所や、使用済み核燃料がある北部チェルノブイリ原発について、安全性確保に向けた技術支援の計画を策定したという。
IAEAには、原子力事故や緊急事態時に当事国の要請に応じ国際的支援を行う枠組みがある。それを行うには、いくら要請といっても、その国の原子力施設の実情にかなり精通していなければならない
IAEAは、平時の核査察を通じウクライナの原発事情をどれほど把握しているのか、今回の技術支援や人員派遣を注視したい。参加各国の原子力施設の視察を行い、その安全管理、運営指導で手腕を見せているIAEAの力量が問われる。支援計画の詳細は明らかでないが、実行も急がれる。
わが国の東京電力福島第1原発事故後、国内外の事故情報をリアルに伝え共有するネットワークづくりの必要性が言われた。しかし、各国の機密扱いの状況が明らかになり実現していない。原発事業は世界的に広がっているのに、それが実情だ。IAEAへの期待は決して小さくない。