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ロシアは帝政時代から徴兵制を敷き、ウクライナ戦争では若者を最前線に送り込んでいる。これに対してウクライナは国家総動員令を発令し、国を挙げて反撃している。その徴兵、総動員の対象はいずれも18歳からだ。
わが国の成人年齢が1日から、その18歳となった。1896年の民法制定で20歳とされて以来、実に126年ぶりの改定だ。海外では大半の国が18歳成人で、それが「世界の潮流」とされる。遅まきながら日本もそれに乗った。
欧米諸国の成人年齢はかつて20歳だった。それがなぜ18歳となったのか。米国では1970年代にベトナム戦争と関連して「18歳で徴兵されるのであれば、選挙権もないとおかしい」との論議が起こり、9割以上の州が18歳に下げた。
欧州では60年代末に「カルチエラタン騒動」(パリ、五月革命)など学生運動が高まり「若者からの要望」で成人年齢を下げた。アフリカなど新興国の18歳成人は大半が徴兵年齢に由来する。
これが「世界の潮流」の現実だ。成人は権利もさることながら、国や社会への「義務と責任」とりわけ国防義務を担う。わが国ではこうした論議は皆無に等しい。義務や責任はなおざりにされがちだ。
ジョン・F・ケネディ第35代米大統領は就任演説で若者に「国が君たちに何をしてくれるかを問うのではなく、国のために何ができるかを考えてほしい」と呼び掛けた。厳しい内外情勢下の新成人に贈りたい言葉である。