地球だより
音楽の都ウィーン市の中心地にはオーストリアのローマ・カトリック教会の精神的支柱、聖シュテファン大聖堂があるが、同大聖堂の鐘が今月16日深夜の午前2時過ぎ、突然、「カラーン、カラーン」と鳴り出した。
「教会の鐘」はよく響く。明日の仕事のために眠っていた人が突然、鳴り出した「教会の鐘」で目を覚ます。ひょっとしたら、ウクライナのチェルノブイリ原子力発電所で事故が生じたのかもしれない、それとも終戦直後の占領国でもあったロシア軍がオーストリアに侵攻してきたのかもしれない、等々、不安になる市民もいただろう。
「教会の鐘」の音を聞いたシェーンボルン枢機卿は驚いてベッドから飛び出し、大聖堂担当の神父に電話。同神父は早速教会の塔に上り鐘のスイッチを切ってやっと鐘を止めた。どうやら、何者かが自動セットされていた教会の鐘を操作したらしい。
「教会の鐘」に関連した騒動は過去にも何度かあった。チロル州ランデック郡のフリース村で2014年、夜の「教会の鐘」を止めるべきかどうかでちょっとした議論があった。現地の教会神父はこの時、「教会の鐘が時間を告げた時代は終わった」として、「教会の鐘」を夜10時15分から翌日早朝5時45分の間、鳴らすことを止めた。
やかましいという点ではイスラム教寺院の礼拝を告げるアザーンも負けない。金曜日の祈り(サラート)を信者たちに呼び掛けるためにアザーンがスピーカーから流れる。「アザーン」や「教会の鐘」は信者の日常生活にとって不可欠だが、信者ではない旅行者や異邦人にとって、一定の許容範囲を超えると騒音にすぎない。(O)