<寄稿>バルカン諸国に経済的影響 セルビア以外はウクライナ支持 アルバニア人ジャーナリスト ミリルダ・ティリ氏

2020年に発足した「国際平和言論人協会」(IMAP)は、世界各国の報道機関やジャーナリストから構成される国際組織(日本事務局は世界日報が担当)。そのネットワークを活用し、ロシアのウクライナ侵攻がウクライナの南西に位置するバルカン諸国に与える影響について、アルバニア人ジャーナリストのミリルダ・ティリ氏に報告してもらった。
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Mirilda Tili 1984年生まれ。アルバニア・ティラナ大卒。同国のさまざまな新聞社やテレビ局を経て、現在、ニューステレビ局「ファクスニュース」の記者を務める。

ロシア・ウクライナ戦争の死者が増え続ける中、バルカン諸国は、領土的、政治的な戦争にとどまらないと考えているものの、影響は経済だけにとどまると見ているようだ。

世界の銀行決済取引網「国際銀行間通信協会(SWIFT)」の遮断による取引の複雑化だけでなく、貿易の麻痺(まひ)はバルカン諸国を苦しめることになるだろう。セルビアを除く西バルカン諸国は、明らかに米国と欧州連合(EU)の側に立ち、対ロシア制裁に加わっている。

バルカン諸国のウクライナ大使たちが、武器や食糧、燃料の自主的な支援を呼び掛けるその姿勢に感銘を受ける。その一方で、コソボを主権を持つ独立国家ではなく、セルビアの不可分な一部として認識している。

北マケドニア、ギリシャ、ブルガリア、モンテネグロ、ルーマニアなど、この地域の他の国々は、ウクライナを支持し、ロシアに対抗する立場を表明している。新型コロナウイルス・パンデミックによるインフレ率の上昇により、各国の中央銀行は金融政策を見直すと思われるが、ロシアとウクライナの輸出入の麻痺により、穀物やガス、金属を中心にまた新たな打撃を受けている。

ドイツが国防費を国内総生産(GDP)比2%超に増やすという変更に伴い、欧州が過去30年間行っていなかったウクライナへの武器供与を引き受けざるを得なくなった。ボスニア・ヘルツェゴビナの戦争でも、コソボとセルビアの戦争でも行っていなかったことだ。

また、領空封鎖は、EU加盟国に加え、加盟候補国も同様の措置を取ったことで、ロシアにとって新たなペナルティーとなった。

ロシア・ウクライナ戦争5日目は、約400人のウクライナ市民が死亡し、そのうち14人が子供であることが分かった。また、116人の子供を含む1684人が負傷した。

一方、国連の監視団は、少なくとも102人の民間人の死亡と304人の負傷を確認した。ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアをジェノサイド(大虐殺)で国際司法裁判所に提訴したことを明らかにした。国連難民高等弁務官事務所は、50万人以上がロシアの暴力から逃れることを余儀なくされたと発表した。

バルカン半島の外れにある国々も、領土的に局地的な戦争であるものの、経済的、政治的に極めて広範な影響を伴うと見ており、政治エリートは新しい秩序の必要性を感じ取っている。

Mirilda Tili 1984年生まれ。アルバニア・ティラナ大卒。同国のさまざまな新聞社やテレビ局を経て、現在、ニューステレビ局「ファクスニュース」の記者を務める。