【上昇気流】(2022年3月2日)

気候変動対策の一環で、森林整備や保全のため国が地方自治体に配る「森林環境譲与税」。ところが制度が始まった2019、20年度に市区町村へ配分された資金の54%に当たる約271億円が使われず、基金に積み立てられたことが分かった。

Photo by Geran de Klerk on Unsplash

総務省ホームページには使途として、地域林政アドバイザーの雇用(秋田県大館市)、地方団体による間伐などの経営管理(埼玉県秩父市)、森林整備に関する講座の開講(愛知県岡崎市)などが挙がっているが、この財政難の折、多くの資金が残るというのは意外だ。

専門家の声としてもあるが、使途が決まらないのは、森林の木材利用という方向性にとらわれ、その段取りが決まらず、結局、森林の存在自体を持て余しているのでは?
農学博士の西口親雄さんが『アマチュア森林学のすすめ』(八坂書房)に「森はすべての生物の共存・共栄を原則として生きている社会」と書いている。

例えば、葉の展開順は最上層が最も遅い。「高木たちは光を独占しようと思えばできる地位にありながら、林床の野草たちの生存にも気をくばっている」

「太陽光を自由に使える地位にあるはずの高木たちが、光合成に緑光を使わないで(そのエネルギーを)昆虫や動物や人間たちにまわしている」と。森の自律性は人間の理想社会を先駆けて体現した感がある。「すぐ側に宝物(森林)がどっかりとあるのだ」と自分たちの町を誇らしく紹介する姿勢が大切だ。