上昇気流(2022年1月28日)

英国のジョンソン首相が、新型コロナウイルス感染対策でロックダウン(都市封鎖)中、首相官邸で複数のパーティーを開いていた件で批判を浴び窮地に立っている。内部調査とは別にロンドン警視庁も刑事事件として捜査を開始した。
国会では最大野党・労働党のスターマー党首が辞任を要求。ジョンソン氏は拒否したが、辞任要求は与党・保守党からも出ている。
ジョンソン氏はこの件で国民に謝罪はしているが、「違反はなかった」と議会などで弁明している。内部調査や捜査で違反が明らかになった場合、議会を欺いたことになり、さらに窮地に立つことになる。
英国歴代首相の中でも稀(まれ)に見る劇場型の政治家で、日本であれば小泉純一郎元首相が一番近い。時にそんな手法を使っても、的確な施策をしっかりやればいいとも言える。しかし、それも程度の問題だ。
NHK「BS世界のドキュメンタリー」の「ボリス・ジョンソン―イギリスを口車に乗せた男―」などを観(み)ると、ジョンソン氏の場合、どれだけしっかりとした政見を持っているのか、かなり怪しい。英国の欧州連合(EU)離脱を苦々しく思っているフランスのメディア制作だから辛口になるのは仕方がないにしても。
稀代(きだい)の役者であり、人々の心理を操る術に長(た)けた扇動家でもあるジョンソン氏。今の窮地も切り抜けられると思っているようだが、内部調査の結果によっては本当に詰め腹を切らされることになるかもしれない。

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