上昇気流(2022年1月18日)

リトアニア

小紙の「地球だより」(18日付)にパリ郊外に住むリトアニア人夫妻の話があった。北欧のリトアニアは台湾の代表機関を設置したことで中国の貿易圧力を受けているが、「信仰の自由と人権の価値を誰よりも知っているつもり。中国の脅しなど怖くない」と語っている。その言葉に重みを感じた。

リトアニアは人口約270万人。大国ロシアとポーランドに接し、何度も亡国の憂き目に遭った。

1939年にソ連とドイツが不可侵条約を結ぶと、ソ連は国境に軍隊を集結させ、相互援助条約の締結を要求。締結するや赤軍を進駐させ、臨時政府を樹立し、知識人らを逮捕して総選挙を実施させた。

選挙は共産党中心の統一候補者名簿を作成し、賛否を問うだけ。反対を投じる投票箱は別の部屋にあり、出口には警察車が待ち構え「人民の敵」の烙印を押して監獄に送り込んだ。今日の香港も似たり寄ったり。明日の台湾がこうならないか、危惧される。

併合されたソ連からリトアニアが独立したのは半世紀後の1990年。首都ヴィリニュスにソ連軍部隊が侵入し死傷者も出したが、ひるまなかった。直後にソ連は崩壊した。そんな歴史を持つので台湾に思いが及ぶのだろう。

自由、人権を守る意思が今、問われている。にもかかわらず、日本の政府も国会も中国の人権侵害に押し黙っている。「沈黙は金(経済)」の皮算用であれば、誇り高いリトアニア人には「沈黙は共犯」と映るに違いない。

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