上昇気流(2022年1月21日)

東京の名画座の一つ神保町シアターで、没後10年を記念し淡島千景を特集している。淡島は宝塚歌劇団で娘役トップとして活躍。戦後は数々の映画に出演し、その美貌と演技力で映画黄金期を支えた
上映作品15本のうち、成瀬巳喜男監督『鰯雲』(1958年)、千葉泰樹監督『大番』(57年)を観(み)た。『鰯雲』は農家に嫁ぎ戦争未亡人となった女性が、懸命に生きていく姿とともに、戦後の社会や人々の意識が大きく変化していくさまを描いている
舞台は神奈川県の厚木近郊。今では東京のベッドタウンになったが、戦後間もない頃は古い農村社会が生きていた。そんな中、淡島は新しい考えの自立した女性を演じている
小林桂樹演じる実家の弟が牛耕をしているのに対し、女性はトラクターで耕す。その田んぼの向こうをツートンカラーの初代小田急ロマンスカーの3000形が走っていく。変化する社会風俗をふんだんに盛り込んでおり、映画はタイムカプセルでもあると思わせる
『大番』は獅子文六の同名の小説を映画化。愛媛県の田舎から東京に出てきて、兜町で株の相場師として活躍する主人公を加東大介が演じ、続編、続々編も作られた。淡島は主人公を支えるお茶屋の女将役で、ここでは尽くす女性を魅力的に演じている
帰りしな、若い女性2人が「続編も観たくなるね」と語り合っていた。神保町シアターは現在、定員を65人に減らして興行。淡島の特集は2月11日まで。

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