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金正恩の違法な喫煙


韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 北朝鮮の最高権力者、金正恩朝鮮労働党総書記はひどいヘビースモーカーだ。彼の喫煙は時と場所をわきまえない。地下鉄はもちろん、妊婦や幼児の前でもタバコの煙をぷくぷくふかす。2019年2月、第2回朝米首脳会談が行われるベトナム・ハノイに向かう彼の特別列車が中国の南寧駅に停車した。列車から下りた彼はまずタバコを出して口にくわえた。彼の横には妹の金与正氏が恭しく灰皿を持って立っていた。

 ソル(旧正月)の連休だった今月11日にも金総書記が喫煙する姿がカメラに捉えられた。劇場で党幹部たちとソル慶祝公演を観覧していた時だ。彼の指にはタバコが挟まっており、机の上には灰皿とマッチが置かれていた。今度の喫煙が関心を引くのは自分が作った法律を自分が破ったためだ。昨年11月に制定された禁煙法によると、劇場をはじめとするあらゆる公共施設で喫煙すると厳しく処罰される。ところが金総書記は例外だ。彼は禁煙法の施行後もどこででもすぱすぱタバコを吸っている。

 驚くべき事実は北朝鮮のメディアが彼の喫煙場面を隠さず報じていることだ。住民たちもこれをおかしいと考えない。金総書記は法の上に存在する“最高尊厳”なので、どんな非行を犯しても違法自体が成立しないためだ。

 北朝鮮にも被疑者の人権のための司法手続きがあるが、金総書記の一言があれば、その場で即決処分される。彼の言葉は法よりも優先される。北朝鮮の住民たちが彼の禁煙法違反を見ても、違法だと認識しないのはそのためだ。

 実際にもっと驚かされるのは南側(韓国側)だ。金総書記の超法的、反人倫的行為を数えきれないほど目撃していても、偉人として崇(あが)める人たちが目白押しだ。ソウルのど真ん中で「金正恩偉人を迎える歓迎団」の発足式を開き、金与正ファンクラブの会長を互いに自分が引き受けるといって大騒ぎしたのは一昨日のことのようだ。文在寅大統領まで、「率直で礼儀が正しい」といって、金総書記の品性を褒めたたえているご時世だ。

 人間は各自がこの世の中で最も尊く貴重な存在だ。そうだからこそ、人間の上に如何なるものも存在し得ない。北朝鮮のように人の上に“最高尊厳”が君臨すれば、人間はその奴隷に転落してしまう。それが金氏王朝の実体だ。金総書記の超法規的な喫煙は、その素顔の一端にすぎない。

 (2月16日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。