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バッテリー宅配ビジネスーミャンマーから


地球だより

 ミャンマーの地方を歩くと、コブ牛が藁(わら)を山積みにした牛車を引いている昔ながらの光景を目にする。ただ手綱を握る人の手にはスマホがあったりするから、近代化の波は地方にまで確実に押し寄せている。

 スマホの普及率は農村でも極めて高いものの、ネット活用というより使うのはもっぱらカメラと電話というのが主流だ。農村の市場や雑貨屋をのぞくと、決まってロウソクが売られている。これは停電時の非常用明かりに使われるもので生活必需品の一つになっている。

 無論、電線が届いていない村も少なくない。なのにどんな奥地でもスマホを手にしている住民がいる。いったい、電気インフラがないのにどうやって充電しているのか。実はこうした僻地(へきち)ではソーラー発電や発電機が電気インフラになっているものの、それすら難しい所はバッテリー宅配ビジネスがある。

 これは朝9時前後に家々を回るバッテリー回収業者が来て持ち帰り、昼間に充電したバッテリーを夕方5時前後に届けてくれる月2万チャット(約200円)のサービスだ。バッテリーは自動車用の中古品を使う。

 このバッテリーで夜の明かりをつけ、スマホの充電もこなすというわけだ。統計によるとミャンマーの電気事情は、発電所からの送電66%、住宅用ソーラー発電21%、発電機5%。残り8%がこの宅配型バッテリーなどで占められる。ミャンマーでは明かり一つ、スマホ1台を維持するために、涙ぐましいほどの人の汗がにじんでいる。

(T)