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飲食時間が世界最長ーフランスから


地球だより

 人の濃厚接触が新型コロナウイルスの感染拡大につながることは再三指摘されている。では飲食にかける時間と感染拡大の関係はどうなのか気になるところだ。というのも経済協力開発機構(OECD)の調査では、フランス人は飲食時間が世界最長だからだ。

 個人的経験だが、約30年間暮らすフランスで、飲食の最長時間は6時間。フランスでは飲酒だけで長時間過ごす習慣はないので、飲食といっても食事がメイン。フランスの一般的な食事のルールでは、食事は一品ずつしか出てこない。それも皆が出された一品を食べ終わらなければ、次は出てこない。完全に食べ終わらなくても、途中で終えたければナイフとフォークを皿の上の右側にそろえて置き、終了を伝える。そうでもしなければ、次の料理は誰にも出てこない。とはいえ誰かがなかなか一つの料理を食べ終わらなくても、イライラする者はいない。なぜなら、食べる合間にしゃべるのではなく、しゃべる合間に食べているからだ。

 経験した6時間の会食はある高齢女性の90歳の誕生会だった。全部で料理は6品、3時間が経過したあたりで最初の前菜が何だったかもう思い出せない。もし、会話に加われなければ地獄の試練だ。

 フランスは新型コロナで3万人以上が亡くなっているが、家族や親族、友人間の食事でマスクをすることはない。もし、感染拡大と飲食に費やす時間に関係があれば、会食を中止するしかないが、フランス人にとって飲食は人生そのもの。

 飲食時間が感染に影響しないことを祈るばかりだが、雲行きは怪しい。

(A)