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信者のいない教会は博物館


地球だより

 欧州でクリスマスと同じように祝われる復活祭。中でもローマ教皇がサンピエトロ広場に世界からの信者を迎えて記念礼拝を行い、世界に向かって「ウルビ・エト・オルビ」の祝福を発する様子は、毎年、テレビやネットで中継される。

 ところで、12日に行われたバチカンの今年の復活祭は「信者のいない復活祭」となった。初めての出来事だ。その直接の原因は、中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスの影響だ。世界で12日現在、約180万人の感染者、約11万人の死者を出すパンデミックは欧州を直撃しており、感染を防ぐためにバチカン側は「信者のいない復活祭」を挙行することにした。

 ただし、世界に信者を有するローマ・カトリック教会だが、「信者のいない復活祭」はいつか到来するだろうといった悪夢が付きまとってきた。どうやら新型コロナがその光景を先取りしたようである。日曜礼拝には限られた信者しか参加せず、日中は多くの観光客がガイドブックとカメラを持ちながら教会を訪れ、祭壇やイエスの十字架像をバックにセルフィー(自撮り)する人であふれる。

 「羊」がいない牧場で働く「羊飼い」はいないので、羊飼いという職を断念するかの選択を強いられる。同じように、「信者のいない教会」の場合、教会を閉鎖するか、観光用建物として利用するかの選択を強いられる。その意味で欧州の多くの教会は既に「信者のいない博物館」となっている。

(O)