沖縄で韓国人中高生の日本語弁論大会
日本と韓国との交流促進を目的に活動する韓日経済文化交流会(イム・ヨンホ会長)と、日韓経済文化交流会・沖縄(竹林春夫会長)が主催する「日本語弁論大会inOkinawa」が、このほど沖縄県那覇市で開催された。日本語を勉強する韓国人の中高生11人が参加し、約50人の聴衆を前に熱弁を振るった。
(沖縄支局・川瀬裕也)
民間交流の重要性語る弁士も
三線の演奏、交流会で歓迎
同弁論大会は、沖縄県と韓国との相互理解の増進と、文化交流などを目的に、県と県教委、那覇市、那覇商工会議所、那覇南ロータリークラブなどが共催し、15年前から開催されており、今年で10回目を迎える。
韓国全土から集まった中高生の弁士たちは、「世界一の韓国と日本を目指して」をテーマに、それぞれ熱のこもったスピーチを披露した。
1等賞の県教委教育長賞に選ばれたのは「私たちが切り開いていく未来とは」と題しスピーチした高校2年生のペク・ミンソさん。
ペクさんは過去に日本を訪れた際、デパートの店員が丁寧に時間をかけ、商品を梱包(こんぽう)する姿が「とても新鮮な衝撃だった」という。何でも急いで行おうとする韓国人の特性「パリパリ(速く速く)文化」を紹介した上で、丁寧な日本の文化と韓国のパリパリ文化を「互いに理解し、尊重し、よく交わる」ことで「私たちの未来はもっと幸せな世の中になる」と語った。
2等賞は、「韓国と日本が良い関係になるためには」と題しスピーチした、高校2年生のイ・シンヒャンさん。
イさんは、インターネット上の間違った情報などが、日韓関係において「差別を生んでいる」現状を問題視。韓国内で行われた日本製品の不買運動などを例に挙げ、「あまりにも偏った主観的な情報の共有は社会的偏見を生み出す原因になる」と指摘した上で、これらを解決するために、「社会的認識を改善し、お互いを尊重する態度を持つことが大切だ」と訴えた。
弁論に立ったほとんどの学生が、日本の音楽や漫画・アニメ、料理などの文化について、強い愛着と熱意を語っており、日本のソフトパワーの韓国での存在感が改めて印象付けられる大会となった。
また、近年政治的に冷え込んでいる日韓関係について触れた弁士も多く、男子高校生の弁士は、「次世代を生きる自分たちが、お互いに手を取り合うことで明るい未来を開いていける」と語り、政治と切り離した民間レベルでの交流の重要性を語った。
大会に先立ち、主催者を代表してあいさつした同交流会のイム会長は、「日韓の学生が互いに頻繁に会い、共に生活し、共同文化圏がつくられていくことが、より価値のある両国の明るい未来につながる」と、開催の意義を語った。
来賓として出席した那覇市議会議員の屋良栄作氏は、「日韓関係の50年先、60年先のプレーヤーに成り得るのは若い皆さんだ」と弁士たちにエールを送った。
審査委員長を務めた宮里育江氏は、韓国のSNSなどには「日本に対する悪いうわさや偏見がある」ことに触れ、そのような中で「しっかり日本の地、沖縄に来て、自分で『日本が大好き』という気持ちを表してくれたことに感動した」と話した。
その上で、「この若者たちが育っていって、日韓交流の第一人者になっていくことを期待している」と総評を語った。楽器「三線」の演奏も披露され、韓国人学生たちは、心地よい音色と歌声に大興奮の様子だった。
大会終了後には日韓の学生たちを中心とした交流会も開かれ、自国のお土産やお菓子を交換し合ったり、両国の文化を紹介し合うなどして、親睦と絆を深め合う時間となった。交流会に参加した韓国人女子中学生は、「日本の学生と交流することでお互いを知っていく活動は、他の何にも替えられないものだった」と感想を語った。