勉強は朝より夜 睡眠で知識が定着

「脳研究者が教える効果的に学ぶためのコツ」

池谷裕二・東大教授がオンラインセミナー

効果的に学習するコツを説明する池谷裕二教授(画像はセミナーの資料から)

脳研究、人工知能(AI)研究両方の第一人者である池谷裕二・東京大学教授がこのほど、「だれでも天才になれる!~脳研究者が教える効果的に学ぶためのコツ~」(主催・学校法人佐藤学園ヒューマンキャンパス高等学校・ヒューマンキャンパスのぞみ高等学校)と題して脳とAIの関係、効率的に学ぶ勉強法についてユーチューブプレミアム・オンラインセミナーを開催した。池谷氏は、今の中高生が学ぶべきこと、学び方、学びのコツとして紹介した。以下は講演要旨。

出力重視で問題を何度も解く

 ■睡眠を有効利用

AIがいろんな分野の競技で強くなったのは、「睡眠効果」を有効利用しているからだ。学校で授業を受けて、家に帰って寝る。そうすれば成績が上がる。脳は寝ている間にその日学んだ知識を整理整頓しているからだ。睡眠というのは、いったん情報をシャットオフして、復習しながら噛(か)み砕いて脳に定着させるもの。一夜漬けは睡眠と関係があり、専門用語で「集中学習」と言う。少しずつコツコツ積み重ね、毎日、時間を分散して勉強することを「分散学習」と言う。

実は一夜漬けでも分散学習でもテストの点数は、あまり変わらない。しかし、しばらくたってから抜き打ちテストをすると全員点数は下がるが、分散の方が集中の点数を上回る。集中、つまり一気に覚えたものは一気に忘れ、分散して睡眠を挟んだ方が記憶の定着は良い。

 ■定期的に休憩を入れる

平均的には40分ごとに5分から10分くらいの休憩を入れる。休憩の取り方が重要で、集中できている時は継続し、できていない時は途中でも切り替えることだ。そして、休憩中は何もしない方がいい。授業中に寝ていて先生に怒られたら「今、記憶定着しています」と答えたらいい。冗談だが、それは科学的に正しい。その代わり、休憩中にスマートフォンを見たりとか、遊んだりしていたら駄目だ。

 ■勉強場所を時々変える

勉強の場所を時々変える。これはすごく効く。ずっと勉強部屋で勉強するよりも、時々リビング(あまり適していないかもしれないが)でやるなど場所を変えた方が効率が良くなる。学校でもそうで、いつも同じ教室でやるよりは、2時間目は音楽室で数学とか、次は視聴覚室で国語、理科室で社会というふうに移動しながら科目を変え、順繰りに動くと成績は向上する。

私が好きなのは、床の上にちゃぶ台を置いて、あぐらをかきながら勉強すること。集中力が切れたら少し休憩を取って勉強机に戻る。部屋の中を移動するだけでも効果がある。

 ■テストを取り入れよ

テストを取り入れることは結構重要だ。とてもシンプルなので、実践してほしい。勉強方法は二つに大別される。一つは何度も見直して徹底的に頭に叩き込む。もう一つは覚えないで、その代わりに思い出す練習をする。単語カードの表だけ見て裏は何だったか思い出すとか、単語帳で赤シートで隠すとかする。つまり、叩(たた)き込む入力タイプと、記憶を引き出す出力タイプだ。覚えるまでの時間に両者で大差はない。しかし、その後が全然違う。覚えたものが定着して忘れにくくなるには3倍から4倍くらいの労力がいる。結論としては入力よりも出力を重視するということだ。

人は見たり聞いたりしたものを全て覚えていられない。脳はどの情報が必要で、どの情報が不要か常に選定している。特に睡眠中に整理整頓する。脳にこれは必要な情報だと思ってもらうことが大切だ。脳の判断基準は、この情報はこんなに使う機会があるのだから覚えておこう、この一点だ。だから参考書を何度も見る勉強はほぼ意味がなく、問題集を何度も解く方が良い。

テスト勉強に勝る勉強法がいまだかつて見つかっていない。人類が今している勉強法の中で、これを超える勉強法はない。問題集をたくさん解こう。

 ■良い姿勢、良い表情を

良い姿勢、良い表情を作る。これはただの精神論ではない。箸を口にくわえて漫画を読み、その後、漫画の面白さに点数をつけるという実験で、箸をどう口にくわえるかで面白さの点数が変わった。真横に加えると顔の表情で口角が上がるから、ちょっと笑顔に似ている感じになる。そうすると点数が高かった。笑顔に多少なりとも似た表情を強制的に作らされて漫画を読む。それだけで漫画が楽しくなる。楽しいから笑うというより、笑うから楽しいという、逆向きの矢印の方が圧倒的に強い。私たちの感情を引っ張り出してくるのは身体だ。体がスイッチになって感情が生まれる。笑顔で、良い姿勢で楽しく学ぼう。

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