実験イベントで理科離れに歯止め

札幌市 大型商業施設で「中高生サイエンス広場」

細長いビュレットから落ちる水が静電気で曲がっていく

若者の理科離れが進んでいるという指摘がある中、札幌市青少年科学館主催の「中高生によるサイエンス広場」が札幌市内の大型商業施設の一角で開催された。市内の複数校による中学・高校生が自ら実験を披露するイベントだが、週末とあって小学生のみならず親子連れなど多くの人が足を止めて見入っていた。
(札幌支局・湯朝肇)

11円電池で電子メロディー、静電気実験も

科学の面白さアピール

「10円玉と1円玉で電池を作って電子メロディーを鳴らしたい方は、ここで順番に並んでください」――12月2日の土曜日、札幌市内の大型商業施設イオンモール札幌発寒店の一角にあるすずらん広場で「中高生によるサイエンス広場」が開催された。

一つのブースを取り仕切っている札幌市立向陵中学校の女子生徒が大きな声で小学生らを案内する。小学生らがきちんと椅子に座ると、今度は上級生らしき女子生徒が、11円でできる「10円玉1円玉電池」作りの手本を見せる。「ここに10円玉と1円玉があります。この10円玉と1円玉の間に、10円玉の大きさに切り塩水に浸したキッチンペーパーを挟みます。それぞれプラスの電極、マイナスの電極にして電子メロディーの“機器”につなげると、このように音楽が鳴ってきます。みんなもやってみましょう」と声を掛ける。

子供たちは、向陵中学校の生徒たちに助けられながら何とか線をつなぐと、きれいなクリスマスソングの電子メロディーが鳴るという仕組み。思わず「やったー」という歓声が上がる。同校科学部のメンバーが電池やケミカルライトの実験を披露した。

また、別のブースでは静電気の実験が行われていた。細長いビュレットから落ちてくる水に、布でよくこすった塩化ビニール管を近づけると、不思議なことに垂直に落ちるはずの水が方向を変えてカーブしていくのである。この実験を披露したのは北海道札幌国際情報高等学校の科学同好会のメンバーだ。水が向きを変える理屈について、同校3年の森太一君が説明。「こすった塩化ビニール管にはマイナスの電気を帯びた静電気というものが出ています。一方、上から落ちてくる水には水素が含まれていて、それがプラスの電気を帯びているので、静電気に引き付けられるように水が曲がってくるのです」と語る。

同校はこの他に、ふわふわクラゲの実験を披露した。荷造り用のビニールテープを太めの糸の状態に裂き、何本も重ねて片方を結び、それを布で丁寧にこすり、宙に飛ばす。そこに、こちらもよくこすったバルーンアートの細長風船を近づけると、その荷造りビニールテープがクラゲのようにふわふわと浮いていく。「これも静電気の実験です」と森君が説明。「僕たちはまだ同好会でクラブにはなっていませんが、いろいろな実験に取り組んでいます。来年中にはクラブになって、ここに来たいと思います」と、うれしそうに話す。

このほか、市立札幌藻岩高等学校のフィールドサイエンス部のメンバーは、岩石や化石、恐竜などについて報告。岩石については、橄欖石(かんらんせき)や花崗岩(かこうがん)、蛇紋岩(じゃもんがん)を顕微鏡でのぞき、岩石の不思議な結晶の形を観察させてくれる。「私たちの学校のフィールドサイエンス部は、むかわ町穂別にある、町立穂別博物館と連携、化石研究班や岩石研究班などいろいろな研究班をつくって現地に行って調査発表したりしています」という。

今回で8回目となる札幌市青少年科学館主催の「中高生によるサイエンス広場」。向陵中学校の他に札幌市内にある市立札幌開成中等教育学校、立命館慶祥中学校・高等学校など合計9校の中学、高校の生徒たちが日ごろの研究活動の成果を披露し、理科や科学の面白さを来場者にアピールした。

このイベントを心待ちにしていた児童支援ボランティア「ここはぐ」の進藤康太さんは、「理科の不思議な現象を、じかに体験できるので、子供たちにとってはとても刺激的、しかも楽しく実験に参加できるのがいいですね。良い思い出づくりになります」と語る。

札幌市青少年科学館は1981年に開館し、天文から地質、海洋まで幅広い科学の分野を取り扱い、地域に出向いて実験や工作体験の指導を行っている。現在、同館は来年3月までの改装工事で休館中だが、「今回のイベントは工作体験指導の一環として開催した。同科学館のこうした地道な取り組みが若者の理科離れに歯止めをかけることになる」(同科学館関係者)と催しの今後の発展に期待したいと語った。

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