夢やコロナテーマに熱弁ふるう-沖縄・興南高校で韓国人の日本語弁論大会

韓国全土から中高生14人が参加

受賞したムン・ウォンジョンさん(右から4人目)、チェ・スルギさん(同5人目)、イ・ジョンビンさん(同3人目)ら(2023年7月19日、那覇市の興南高校)
受賞したムン・ウォンジョンさん(右から4人目)、チェ・スルギさん(同5人目)、イ・ジョンビンさん(同3人目)ら(2023年7月19日、那覇市の興南高校)

興南生徒、エイサーや三線で歓迎

日本と韓国との交流促進を目的に活動する韓日経済文化交流会(イム・ヨンホ会長)と、日韓経済文化交流会・沖縄(竹林春夫会長)が主催する「日本語弁論大会 in Okinawa」がこのほど、沖縄県那覇市の興南学園(中学・高校)で開催された。日本語を勉強する韓国人の中高生14人が参加し、熱弁を振るった。(沖縄支局・川瀬裕也)

同弁論大会は、沖縄県と韓国との相互理解の増進と、生徒同士の交流などを目的に、県と県教委、那覇市、那覇商工会議所、那覇南ロータリークラブなどが共催し、14年前から開催されており、今年で9回目を迎える。

韓国全土から集まった中高生の弁士たちは「私の夢と理想」「コロナとコロナ後の世界」をテーマに、それぞれ熱のこもった弁論を披露した。

優勝したのは中学3年生の女子、ムン・ウォンジョンさんだ。「思わぬ挑戦が与えた悟り」と題し、挑戦することの大切さについて語った。

「人見知りが酷(ひど)く、小心者の性格だった」というムンさんは、自分自身を変えるチャンスだと思い、生徒会副会長選挙に出馬を決意。そして訪れた選挙演説の日、コロナ感染拡大の影響で全校生徒が集まれないため、放送演説になってしまった。スピーチを終えると、「以前の私を克服できたという思いに、激しい感情が沸き上がった」と達成できた喜びを語った。

その上で、選挙を手伝ってくれた友人たちの存在を通して、「人は支え合って生きていることを実感できた」と強調し、日本語弁論大会についても、「私の世界観に小さな変化を与えてくれる意味のある経験になったと思う」と締めくくった。

2位は、「私の夢」と題してスピーチした高校3年生の女子、チェ・スルギさんだ。

冒頭、「私は中学3年間、全ての試験を台無しにしてしまった」と、後悔していることを語るチェさん。「そんな自分が嫌になり、私にはできることが何もない」と考えるようになっていたが、転機が訪れる。

高校1年生1学期の終業式で、担任の先生に退学の相談をした際、「形だけのアドバイスをしてくれるだろう」と思っていたが、先生は涙を流しながら話を聞いてくれたという。相談が終わった後、先生は「夏休みが終わったらまた会おうね」と言ってくれた。

その言葉が支えとなり、チェさんは、2学期からも学校に通い一生懸命勉強も始めた。すると先生から「君は日本語の成績が良い」と勧められ、「高校2年生の時から日本語勉強を本格的にし始め、今日こうして沖縄まで来ることができた」と力強く語り、大きな拍手が送られた。

3位に入賞した高校3年生の男子、イ・ジョンビンさん。彼は、「痛みを乗り越えて前に進む理由」と題して、コロナ禍での成長について語った。

イさんは、「(感染予防のため)学校に1週間通っては1週間休むのを繰り返したため、クラスの人が誰か分からない状況だった」とユーモアを交えつつ当時を振り返った。その上で、修学旅行の中止など辛(つら)い経験が多かったが、「3年間の学校生活は決して無駄ではなかった」と語る。

「コロナは強制的に社会的距離(ソーシャルディスタンス)を求めたが、同時に私たちはデジタル技術を通してつながる新しい方法を見つけた」と強調し、インターネットを通して新たに日本人の友人ができたことを明かした。

全員のスピーチが終わると、興南高校の生徒たちによる三線の演奏とエイサーの演舞が披露された。沖縄ならではの三線の音色と、力強い太鼓の音に韓国の生徒たちは大興奮の様子だった。

エイサーを披露する興南高校の生徒たち(2023年7月19日、那覇市の興南高校)
エイサーを披露する興南高校の生徒たち(2023年7月19日、那覇市の興南高校)

大会に先立ち、同交流会のイム会長は「これから両国の未来を担っていく青少年たちにとって、今日の出会いが大きな財産になることを信じてやまない(代読)」とあいさつした。

聴衆として大会に参加した興南高校の女子生徒(17)は、「みんなとても日本語が流暢(りゅうちょう)で驚いた。日本のことを好きになって勉強してくれて嬉(うれ)しい」と感想を述べた。また同校男子生徒(16)は「韓国人の子と交流できる機会はとても貴重だから、ぜひ友達になりたい」と笑顔で話した。

大会終了後には興南高校のサークルメンバーを中心に、交流の時間も準備され、両国の絆を深める時間となった。

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