読書の魅力をさらに伝えたい 札幌で「ブックシェアリング」イベント

手ごろな値段に足止め手に取る人々
幼稚園や学校に無償提供も

5月22日から3日間にわたって開催された「ぶっくらぼステーション」
5月22日から3日間にわたって開催された「ぶっくらぼステーション」

子供の活字離れ、本離れが進んでいるといわれる昨今、絵本の読み聞かせなど読書の楽しみを知らしめるボランティア活動が各地で繰り広げられている。ブックシェアリングもその一つ。一般社団法人北海道ブックシェアリングは5月下旬の3日間にわたって札幌市内で「ぶっくらぼステーション」を開催。さまざまな分野の文庫や書籍が手ごろな価格とあって道行く人が足を止め手に取っていた。
(札幌支局・湯朝 肇)

「この文庫本1冊100円なんてメチャ安いのね。ちょっと多めに買っていこうかしら」――。

5月22日から24日まで札幌駅前の地下歩行空間で開催された北海道ブックシェアリング主催の「ぶっくらぼステーション」に訪れた年配の女性がこう、つぶやいた。出展されている本の種類は絵本から単行本、実用書、専門書などあらゆるジャンルに及ぶ。それが市価よりも安いとあって多くの人が立ち寄るのである。

このぶっくらぼステーションは、単に古本を売りさばくブックバザーとは若干異なる。道内の地域および学校などでの図書環境の整備を目的に実施されているのが特徴。同団体が行っているブックシェアリングの仕組みは次のようになっている。

 すなわち、個人や家庭、企業・団体から読み終えた本の寄贈を受け付け、それをボランティアスタッフが本の整理・補修を定期的に行い、図書を必要としている保育園や幼稚園、小中学校などの公共施設に無償で提供しているというのである。

ブックシェアリングの目的について同法人代表理事の荒井宏明さんは、「北海道の自治体では、学校図書を充実させたくとも予算が不足しているため十分な書籍を集めることができないなどの悩みを抱えているところが多い。そうした学校施設や病院などの公共施設への図書の無償提供、また図書専門員の派遣を行って地域の図書環境を少しでも改善したいというのが当会の趣旨です。またぶっくらぼステーションの開催は、パネル展も同時に行うことで、われわれの活動を多くの方に知ってもらうことを目的にしています」と語る。

確かに北海道内の図書環境は良いとはいえない側面がある。文部科学省は2016年度に「学校図書館ガイドライン」と「学校司書のモデルカリキュラム」を示し、各小中高校に対し、校内の図書館については専任の学校司書を最低でも1人配置することなどを求め、翌年度から学校図書館の図書環境を整備するための「5カ年計画」を実施していた。

ただ、その結果について見ると、例えば学校司書の配置では全国平均で小学校が69・1%、中学校では65・9%、高校では66・4%と100%には至っていない。それが北海道となると小学校が24・8%で全国ワースト3、中学校が33・9%で全国ワースト8、高校に至っては6・2%で全国ワースト2とかなり低ランクになっている。

それだけ、図書環境の整備が遅れている証拠だが、荒井さんによれば「北海道は全国的に見て学校司書の配置は低い方ですが、北海道内においては書店が一軒もない自治体が4割、公共図書館の設置のない自治体が5割強もあります。そうした自治体あるいは学校に対して読書活動推進の策定計画作りを支援していくことも私たちの活動の一つと思っています」と語る。

具体的には同団体が独自に策定した図書館整備に関する約50項目から成る調査票に基づいて環境を診断し、その上で雑誌や新聞、図書など学校図書館メディアの構成や収取計画について具体的にアドバイスし、さらに備品や電算化のシステムについてもサポートしているという。

北海道ブックシェアリングが開設されたのは今から15年前の08年。札幌市の東隣の江別市を拠点に活動を行っているが、これまで支援サポートした自治体・学校は道内全域に及ぶ。「私どものスタッフはほとんどがボランティアです。一方、読書環境は地域の意識によって格差が出やすいのも現実です。地域や学校のニーズに細やかに対応しながら最新の知見を提供していきたい」(荒井代表理事)と道民の読書意識の向上に力を注いでいる。

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