教員負担軽減へ県内で動き加速 沖縄・那覇市が専門チーム立ち上げ

文科省事業活用し相談体制を支援
教員不足解決図るシンポも

那覇市内の中学校の授業風景(イメージ)(那覇市立松城中学校ホームページより)

教員不足が深刻な問題となっている沖縄県においてこのほど、那覇市が教員の負担軽減を検討する専門のチームを立ち上げた。文部科学省の事業と連携し、教員の精神疾患対策などに取り組むという。5月21日には、教員不足の解決を図るシンポジウムが開かれるなど、問題解決へ向けた動きが加速している。

(沖縄支局・川瀬裕也)

県教育庁はこのほど、令和5年4月時点で、教員不足により新学期の小中学校計30学級で県独自の少人数学級(小1・2年=1クラス30人、小3~中3=1クラス35人)の編成ができなかったと発表した。小中高校と特別支援学校で合わせて23人の教員が不足しているという。

県内の教員不足の主な原因として、少人数学級の導入と特別支援学級の増加率が全国と比べ高いことなどが挙げられている。特に2016年以降、特別支援学級の生徒が1人でもいる場合は学級を設置できるようになったため、1000クラスが増加。それに伴い1000人の教員が必要となった。

これらの問題に対し県教育庁は、退職した教員や、何らかの理由で現場から離れている元教員の再任用の促進や、教員採用試験の年齢上限の59歳への引き上げ、教員免許を保持しているが教職に就いていない、いわゆる「ペーパーティーチャー」を対象にしたセミナーを開催するなど、さまざまな策を講じてきた。

「教員負担軽減タスクフォース」を立ち上げた那覇市の市役所(川瀬裕也撮影)

これらの努力により、昨年度の不足人数(64人)に比べ、23人にまで減少することに成功したが、新学期の開始時点で23人が不足している現状は早急に打開すべき問題であることに変わりはない。

沖縄における教員不足のもう一つの大きな原因が、精神疾患だ。那覇市では令和3年度の小中学校教職員1734人のうち、精神疾患で休職したのが37人で、これは全国平均の約3倍に当たる。県単位で見ても、全国ワースト1位で、全国平均の約2倍の精神疾患による休職者がいる現状となっている。

これらの問題を受け那覇市は専門の検討チーム「教員負担軽減タスクフォース」を立ち上げた。同市の知念覚市長が24日、明らかにしたもので、県教委と連携し、文科省の事業を活用するなどして、主に精神疾患で休む原因などの分析と、相談体制の拡充、支援など、教員の負担軽減に取り組むという。

タスクフォースは古謝玄太副市長と山城良嗣・同市教育長が共同で座長を務める。同市校長会からは既に、不登校児童に対応する教育相談員の配置や、学校と保護者との間のトラブルやいじめ問題などに対応する学校専属の弁護士(スクールロイヤー)の設置、教員による地域行事や街頭指導への参加の見直しなど、具体的な要望が挙げられているという。

文科省は同市教委と連携し、令和5年度における教職員のメンタルヘルス対策に関する調査研究に取り組むことを明らかにしている。市内の小中学校で、精神疾患などによる教職員の休職を予防するために、「未然防止」「早期発見・対応」「復職支援・サポート」の三つのポイントに分けて対応するという。同事業には最大約1200万円が交付される見込み。同市での事業をモデルに県内全域での展開を目指している。

また県教育委員会は4月、学校現場での働き方改革を進めるため、県内の公立学校の職員を対象にアンケート調査を実施。今年度新設された県教委の「働き方改革推進課」が行ったもので、教育現場で改善や削減が必要と考えられる業務や精度などについて尋ねた。かねて教育現場において、全国テストの採点や長時間にわたる部活動の顧問活動、地域行事への参加や見回りなどの業務を負担だとする声は根強く、それらの詳細を調査するアンケートとなった。県教委働き方改革推進課は、「回答を整理し、教員が働きやすく質の高い教育を持続的に行うことができる学校を目指す」としている。

このような中、5月21日には同市で教員不足の解決を模索するシンポジウム「教員不足 打開への一歩」(主催=琉球新報社)も開催され、慶応義塾大学教職課程センターの佐久間亜紀教授や、県教委の担当者、PTA関係者らが、教員不足解決に向けて問題点や可能な支援などについて意見を交わした。

那覇市を中心に問題解決に向けた動きが県内で加速しつつある。より良い教育現場を確保することができるか、行政の本気度が問われている。

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