蝶が結ぶ日台友好

台湾・澎湖諸島の隘門小学校

海渡るアサギマダラ調査を授業に

県庁所在地の馬公市で発見されたアサギマダラ

台湾では小学校によって「特色課程」という学校独自のカリキュラムがある。台湾・澎湖(ほうこ)諸島の隘門小学校では日本から海を越えて島にやって来るチョウ「アサギマダラ」の調査を授業に取り入れている。授業を担当する許自由教諭は「チョウを通して子供たちに見識を広げてもらいたい」と語った。地元ではチョウを通じて日台友好につなげていきたいという声も出た。(村松澄恵)

「子供たちの見識広げたい」許自由教諭

「旅するチョウ」という異名を持つアサギマダラは、暖かい時期になると、南向きの風に乗り、日本本土から南西諸島や台湾などへ南下する。チョウの移動を調べるため、捕獲したチョウの羽に捕獲場所、年月日、捕獲者などを記し、野に放つ。マーキングされた個体が再び捕獲された場所、日時によって、何日間で何キロ移動したかを知ることができる。

同小学校は台湾本島の西方約50㌔に位置する澎湖諸島にある。アサギマダラの調査を授業に取り入れた理由について、担当する許教諭は島での限られた環境では視野が狭くなりやすいとした上で「チョウの研究をステップに、周囲の国々や地域の文化理解に役立ててほしい。子供たちの見識を広げることこそ、私たち教育者がやるべきことだ」と話した。

アサギマダラの研究は2013年、台北市立大学の陳建志副教授(当時)が澎湖諸島に研究グループと共に来たことで始まった。澎湖における冬季の生態調査を継続的に行うため、陳氏は隘門小学校や現地の野鳥協会などと協力関係を結んだ。

許教諭は「このような特色ある生態なら、学校は生徒と共に参加したらいいのではないか」と考えた。最初は、数人の子供たちとフィールドワークを始めた。今では授業に組み込むまでに広がった。

生徒とチョウの調査を行う許自由教諭(隘門小学校提供)

毎年の調査から、澎湖にはチョウが多く集まる場所が2カ所あることが判明した。この2カ所に共通するのは、北から風に乗ってやって来たチョウが海に向かって飛び立つ島の南側にあること、切り立った崖に面し、チョウが留まれる植物が生い茂っていることだ。

このことから、許教諭たちは「本当はチョウは海を越えての移動を避けたいのではないか」と推測している。ただ、植物が少ない県庁所在地の馬公市で見つかった例もあり、「アサギマダラについては解明されていない事が多い」という。

チョウの調査を行う中で、日本各地からやって来ることが分かった。記録したもので一番遠い所から来たのは、福島県で直線距離2513㌔だという。許教諭は「チョウは直線で飛んで来ることはないので、実際の距離はもっとあるはずだ」と説明。新型コロナウイルスが収束の兆しを見せる今年は、10月に生徒と日本を訪れ、フィールドワークを企画している。

澎湖県議会元副議長の許南豊氏は馬公市の自宅裏で山口県から来たチョウを家族が発見した、「山口県は台湾に友好的だった安倍晋三元首相の出身地。チョウを通じて日台友好がより深まってほしい」(許南豊氏)と話した。

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