早期終息の願いコップに描く 小学5年生の高村恒有君、サンドブラストで

ロシアによる侵攻 世界平和に思い馳せ

愛用のパーカーのイラストをサンドブラストでコップに描いた高村恒有君(写真左。サンドブラストのコップ完成には父母の協力が大きかった=石川県七尾市の能登島ガラス工房

ウクライナのユーチューバーのロゴマーク

石川県七尾市 能登島ガラス工房で制作

ロシアのウクライナへの侵略が早期に終息するように、平和への願いを込めて、ウクライナの人気ユーチューバーの使っているロゴマークを、石川県志賀町の小学5年生の高村恒有(こうゆう)君がサンドブラストで描いた。出来上がったコップを手に、高村君は「早く戦争が終わり、みんなが仲良くなってほしい」と願っている。(日下一彦)

「みんなが仲良くなって…」 世界情勢への視野も広がる

ロゴ入りのガラスコップを制作したのは、町立富来(とぎ)小学校5年生の高村君。能登地区でボランティア活動をする傍ら、家族や両親と共に七尾市の能登島ガラス工房で開かれたイベントに参加した。

制作したサンドブラストは、コップに貼った型をカッターナイフで切り抜き、そこにサンドを吹き掛ける技法で図柄が趣のある、すりガラス状に仕上がる。手軽にできるとあって、世代を超えて人気がある。

工房には七尾湾を泳ぐイルカのシルエットや兼六園(金沢市)の徽軫灯籠(ことじとうろう)など、観光客向けの図柄が多数用意されていたが、高村君はそれらに目もくれず、用意してきた図柄に挑戦した。お気に入りのウクライナ人のユーチューバーの使っているチャリティー大会用のロゴマークで、愛用のパーカーに描かれている。

「算数や国語は大好きですが、図工は苦手な方、自分で図柄を準備するなんてビックリしました」。父の栄一さんが驚くほど、このロゴマークにこだわった。

彼が取り組んだのは、ウクライナ人のユーチューバー「サワヤンゲームズ」の使っているロゴで兄のサワさん(26)と弟のヤンさん(21)兄弟が2年前に結成し、活動している。サワさんは4歳の時に父の仕事の関係で家族と一緒に来日、日本で生活した経験がある。その後ヤンさんが生まれ、二人は日本の高校、大学に進学し、日本語を流暢(りゅうちょう)に話す。

ユーチューブではマリオのゲームなどを実況し、そのテンポの良いレース解説が10代の若者たちを中心に一躍人気の的になった。二人がカバーしているのはゲーム解説のほか、日本のカルチャーや観光名所、スポーツ、和食など多岐にわたり、それを独自の目線で面白おかしく発信している。今では総再生回数が1400万回を超えている。

高村君は学童保育に通う先輩を通して二人の番組を知り、何度か視聴するうちにすっかり魅了され、ファンになった。それはロシアがウクライナに侵略する前のことだった。

報道でウクライナの厳しい惨状を知り、自分にできる支援はないかと父の栄一さんと相談するうち、サワヤン兄弟がパーカーをデザインし、その売り上げの全額がウクライナ大使館に寄付されていることが分かった。そこで、両親と相談してお小遣いをためて購入した。

作品作りでは、大好きな二人の祖国への支援と早く悲惨な戦争が終結することを願って、ロゴマークをサンドブラストで描いたのだった。工程ではロゴマークを一つ一つ丁寧に切り抜き、平和への願いを込めながら、40分ほどかけて仕上げた。

身近なことから視野も広がりつつある。栄一さんによると「日本の軍事力が世界で5番目に高いことを自分で調べて勉強しています」とのことだ。親子共に平和が早く実現するように祈っている。