副読本で「こども防災」分かりやすく

梅雨の長雨・集中豪雨、台風の襲来など、日本は年間を通して自然災害が絶えない。そこで、千葉県は今春、危機管理政策課と教育委員会が連携して、小学校での防災教育に関わる副読本「こども防災」を作成し、公開している。千葉県は、2024年度以降、タブレット端末などで学習できる副読本を利用し、理科、社会科の授業や総合的な学習の時間などで活用している。(太田和宏)

自発的な意識持てるよう啓発

小学生の防災教育向けデジタル教材

千葉県危機管理政策課と県教委が連携

先行き不透明な時代、学校の行事や授業にICT(情報通信技術)端末機器が入ってくる時代、千葉県は、近い将来、自助・共助の中心的存在となっていく児童・生徒が、防災に関する基礎的・基本的な事項を学習し、実践的な対応力を高めるとともに他者と自分を見詰めながら、自発的な意識を持てるよう、小学校での防災教育に関わる副読本「こども防災」を作成した。

第1章「災害って、何?」過去に、千葉県で発生した台風や地震などの災害について学ぶ。地震や大雨の際に自身や家族を守るための備えなどを学ぶことができ、このうち千葉県の近年の災害を学ぶページでは東日本大震災や令和元年に房総半島を襲った台風の被害などが写真や図を使って紹介されている。

第2章「大雨や強風に、どう備える?」大雨や強風は事前に予測できるという特徴を踏まえ、必要な備えを学ぶ。台風による強風・大雨は気象情報などで事前にチェックすることができる。強風で電柱が倒れたり、物が飛ばされたりして、大規模な停電につながる。河川の氾濫、浸水、土砂災害が起き、交通遮断が起きる。

第3章「地震や津波に、どう備える?」建物の揺れで倒壊したり、看板や室内の備品が落ちてきたり、家具が倒れたりする。火災や停電で家電製品が使えなくなる。生活用水が使えなくなる。家や車が流される。浸水する。液状化現象で電柱が倒れ電線が切れる。水道管・ガス管が壊れる。停電、断水、ガスが止まる。通信障害が起きる。地割れや土砂災害は交通遮断を起こし、物流や人の移動が止まってしまう。

第4章「避難に備えよう」地震、台風、洪水とケースによって避難場所が違ってくる。安全と思われる場所への移動も日頃から家族で考え、相談することが必要だ。両手が使えるようカッパ、リュックサック、履き慣れた運動靴、必要最低限の荷物で避難する。避難所では健康に気を付け、うがい、手洗い、水分補給を忘れずに。妊婦、乳幼児、高齢者、障碍(しょうがい)者には気を付けてあげることが必要。日本語が通じない外国人にも心遣いが必要だ。

第5章「その他の災害から身を守る」めったにないことだが、大雪で鉄道・航空・道路が閉鎖され、移動手段が限られるようなこともある。過去には富士山、浅間山、三原山の噴火により降灰があったこともある。不要不急の外出は控えるようにする。全国瞬時警報システム(Jアラート)弾道ミサイル情報、緊急地震速報、大津波警報など緊急避難を知らせるシステムが発動された場合、屋内では窓から離れ、屋外では頑丈な建物に避難する。日常防災チェックリストや参考資料として「じぶん防災」「千葉県防災ポータルサイト」、千葉県の防災関連施設も紹介されている。

タブレット端末での学習を前提に、県のホームページ(https://www.pref.chiba.lg.jp/bousaik/kyouiku/kodomobousairinkushu.html)から誰でもダウンロードができる。子供に限らず、県民や自主防災組織など、広く活用してもらう狙いだ。危機管理政策課の担当者は「災害時の自助・共助の重要性の高まりを感じている。将来その担い手となる世代に、防災を身近に感じ、家族でも話の場を持ってほしい」と話している。

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