あいづまちなかアートプロジェクト2023

土器を体感、地元作家との交流も

史資料センター「まなべこ」で展示された修復土器

福島県会津若松市で今月、「この秋、会津をアートなまちに育てよう」をキャッチコピーに「あいづまちなかアートプロジェクト2023」が開催された。11年目となる今回は「会津漆の魅力展」と「会津ヒトとマチとのアート展」の2本立てで、およそ1カ月の間、市内をアートで盛り上げる地域おこしの取り組みが行われた。

初の一般「参加型」で実施

地域おこしにアートが一役

会津地方は400年以上の歴史を持つ「会津塗」とも呼ばれる漆器が有名で、その歴史は石川県の輪島塗よりも古いとされる。「会津漆の魅力展」では、市内各所でイベントや漆塗り体験などのワークショップが開かれ、漆の魅力を感じてもらえるようにした。県立博物館では期間中、オープンスタジオを開設して、延べ14日間にわたりプロの漆の作り手4人を招いて製作現場を間近で見てもらったり、作り手と直接話をする機会を設けたりした。

漆の魅力展のメイン会場となる会津若松市歴史資料センター「まなべこ」の鈴木賢次さんは「市内全小学校の6年生が見学に来るので、子供たちにも分かりやすいコンセプトでの展示を目指した」と話した。

セレクトショップ「Azzurro(アズーロ)」の渡部多一郎専務

「まなべこ」では会津地方で発掘された土器のうち漆が使われていたものや漆器を展示。また、来訪者が実際に手に取って鑑賞できるよう、土器の破片を縄文土器・弥生土器・須恵器と分類して展示した。それぞれの時代の質感や、年代が進むにつれて土器の厚みが薄くなっていくことが体感できる、めったにない機会だ。土器の修復には漆が使われており、漆の樹液を採取する道具なども展示された。

一方、「会津ヒトとマチとのアート展」では絵画を中心に展示が行われた。市収蔵の美術作品400点や会津にゆかりのあるアーティストなどの作品を紹介。会津若松市教育委員会文化課の小沼貴子主任主査は「市の文化財産を活用しながら、アートを介した交流の場をつくることが今回の狙いだ」と話す。

小沼さんは「これまでは展覧会を開いて作品を見てもらうという形だったが、10年間開催する中で、地元のアーティストとの出会いや、コミュニケーションの場が欲しいという声も多くなってきた。市民の方々や文化団体、個人のアーティストの方々にも協力してもらい、今回初めての『参加型』の取り組みを行った」と話した。

市内中学生の手による「ちいさな美術館」は、初の取り組みの一つ。会津若松市の作品を中学生に見てもらい、彼らが感じたことを中学生の音声で作品鑑賞ガイドとして作成した。選ばれた8作品は会津若松市のYouTube公式チャンネルで見ることができる。

また、催しの初めの期間には「私の好きな会津365」と題し、会津のひと・もの・ことをテーマに一般から作品を募集した。作品は、はがきサイズの絵画や写真などで、受賞作品は市内の協力10店舗に各3作品ずつ展示されている。コーディネーターとしてプロジェクトに関わり、飲食店「食堂カフェ・ハレの日」を経営する西本真理子さんは「今年はあくまで初めの一歩。以前と何かが変わるという感じでもない。まずは町の中にアートを根付かせることが目的。あと2、3年後、お客さんの間に浸透してくれたらいい」と話す。

会津若松は江戸時代、会津藩の城下町として栄え、鶴ヶ城や白虎隊など、歴史的な文化遺産の町として有名だ。会津塗や赤べこなどの伝統工芸品や日本酒などが名産品として名高い。そうした中、市内には福島の歴史を紹介する県立博物館はあるものの、美術館がない。また町の商店街には多くの店舗が軒先を連ねるが、いまひとつ活気がないのが現状だ。そこで市はアートを通じて町の活性化を模索。町中の10店舗に協力を依頼し、受賞作品を店内に展示する取り組みを始めた。

市内のレディスファッションセレクトショップ「Azzurro(アズーロ)」の渡部多一郎専務は「若いアーティストたちの活躍の場がないとよく聞く。町のギャラリーも減ってきている。そうしたアーティストたちの作品の発表の場になったらいいと思う」と協力的だ。同ショップの店頭には一般参加の受賞作品が展示されている。

文化課の小沼さんは「アートを通して地域おこしをしていけたら。来る人が町中も散策してもらえるように、お店の方にも参加していただいて町を盛り上げたい」と今後の意気込みを語った。

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