学校部活動の地域移行と未来テーマに「イマチャレコンベンション23春」開催

リーグ戦文化育て試合数増加を

日本バスケットボール協会会長の三屋裕子氏

生涯スポーツとして指導者など育成も

三屋裕子氏

イマチャレコンベンション23春がオンライン配信で行われ、メインセッションで日本バスケットボール協会会長の三屋裕子氏による講演が行われた。以下はその要旨。

子供たちは、いろんな環境に置かれている。バスケットの分野で見ると、学校部活動もあれば、街クラブもあり、Bリーグのユースに所属している子もいる。子供たちが参加できる大会は限られている。

部活動の顧問教師は、土日に休みたい先生がいる一方、しっかり部活をしたい先生もいて、指導者もさまざまだ。指導する人材をどう確保していくのか、予算をどう確保していくのか、課題は多い。「ヒト、モノ、カネ」というところが大きなネックになっている。

地域的な差が出ることはなるべく避けたい。子供たちにスポーツの場を与えたいと、みんな思っている。入り口とやり方が違うことで、ばらつきが起きている。

「学校体育」というのは、児童・生徒が全員参加して、時間と運動の場が与えられ、公平・公正でないといけない部分があり、それが大前提だと思う。勝利至上主義というのは、あってはならないことだと思う。最小限のインフラで最大限の効果を生むには、学校にお任せするのが手っ取り早く浸透させる方法だ。

「スポーツ」は非日常なところがある。学校がそこに寄り添っていけるのか、体育とスポーツを融合できるのか、課題は多い。いろいろ、柔軟に対応することが大切になってくる。魅力ある大会や選手を楽しく育てるには、審判や指導者、運営者など支える人たちをいかに育成していくかも大切だ。

バスケットボール協会創設100周年を迎える2030年に向けて、バスケ界が「志、目標、行うべき行動」が一つになるよう「ジャパンバスケットボールスタンダード」を策定した。

最も笑顔を生み出すスポーツになろう、世界に通じるスター選手を10人以上輩出しよう、47都道府県に夢の都市を存在させよう、という三つの目標を掲げている。また、バスケットボールだけが良くなればというのではなく、地域の人々、文化、経済が活性化された地域に、ひいては日本になってほしいと考えている。

トーナメント制だと、大会で1、2回戦で負けると年間数試合しかできないが、リーグ戦形式だと試合数がかなり増やせる。リーグ戦文化をぜひ創りたい。子供たちの遊びでやる「バスケ」の普及。若者のファッション的なスポーツになっている3×3バスケットの競技化など競技会以外での環境も整える。

長くバスケットボールに親しんでもらうため、昨年からU18トップリーグをスタート、ブロックリーグを開始、あと2、3年後には都道府県リーグを創設したい。

18年にU15部会をつくった。中学校体育連盟、ジュニア連盟などいろいろな所属先があったものを、一本化していく方向で進めている。20年の12月に高校生の大会(ウインターカップ)を控えて第1回U15選手権大会(ジュニアウインターカップ)も始めた。Bリーグのユース、街クラブ、学校の部活動などいろんな所属先から参加でき、学校スポーツの地域移行がうたわれる前からこうした活動を始めている。

指導者の数が足りない問題について一気通貫の体制を敷こうとしている。学校単位で小学校だけで、中学校だけで、高校だけで勝てばいいというのでは数年ごとに指導者が変わってしまう。代表だけでなく、U22、U18、U15、U12の下部チームも一つの哲学・指導方針を模索している。

一貫した指導体制のライセンス制度を敷いており、最年少15歳でインターネットによって指導資格を取得できる。専門的な指導者がいない場合は子供たちでライセンスを取って、生徒同士で教え合えるシステムづくりをしている。

IT技術を活用して、自主練アプリを作製、沖縄の離島で、少人数のクラブで、指導者を求めている子供たちにBリーグの指導者の目が届くような方法も模索している。

(太田和宏)

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