格差なくし多様な種目に親しむ 

スポーツ庁長官の室伏広治氏

指導者不足、場所がないケースは支援

室伏広治氏

イマチャレコンベンション23春がオンライン配信で行われ、メインセッションでスポーツ庁の室伏広治長官による講演が行われた。以下はその要旨。メインセッションでは日本バスケットボール協会の三屋裕子会長、筑波大学の永田恭介学長の講演、特別セッションで経済産業省サービス政策課の吉倉秀和室長、ソフトバンク サービス企画本部の星川智哉部長の講演も行われた。(後日順次掲載)

学校部活動の地域移行と未来テーマに「イマチャレコンベンション23春」開催

国としても学校部活動の地域移行を進めていく方向で全力を尽くしており、関係する皆様の協力もお願いしている。何から始めればよいのか、分からないという地域もあると思う。課題について、明確になることが必要だと思う。

地域移行を推進するという方向性は示されたが、反対する意見も多数ある。現状が掴(つか)めていないケースもあり、出遅れている自治体もある。そういうことも承知している。現実問題として部活動人口が半減するようなケースもある。地方に行くと、人口減少で学校どころか、町もなくなるという地域もある。

推進する地域、躊躇(ちゅうちょ)する地域、さまざまだが、今、目先の問題というよりは、10~20年先のことを考え、対策を打つことが必要だと考え、危機感を持って行動することが大切だ。

体育とスポーツの違いについて、体育は担当教師が年齢に適した心身の発育・発達を促すもの。スポーツはエンターテインメント性があったり、見て楽しんだり、応援で支える喜びなど、多面的な要素が絡んでいる。スポーツを学校だけで、収めていけるかというと難しい問題がある。

スポーツ庁では学校部活動と地域との連携、地域移行という大改革を進めている。少子化などの影響で学校単位で行えない、適切な指導者がいないという難しい問題がある。昨年6月に有識者から提言があり、7月に日本スポーツ協会、各競技団体、中学校体育連盟に対して、大会等の在り方などの見直しを要請した。大会の在り方、参加規定、引率などの見直しが進められている。

日本スポーツ協会では地域での体制づくりや公認スポーツ指導者資格など地域におけるスポーツ指導者の質、補償、人員の確保などについて尽力をいただいている。全国の移行状況など視察中だ。現地で子供たちの話を聞くと「同じ学校だけでなく、他校の友達ができた」「人数が足りなくてできなかったものが、できるようになった」と喜んでいるという前向きな意見が多かった。移動手段をどうするかなど問題もあるが、柔軟に考え、支えてあげたい。

なぜ、部活動の地域移行が必要なのか、中学生を考えると、入学から卒業までの2年半ぐらいしか、実質活動の時間はない。生涯スポーツということを考えると、幼少期から青年、壮年、老後に至るまでの長い期間を考える必要がある。日本では、高校や大学に行って嫌になってスポーツをやめるケースが多い。

子供たちを取り巻くスポーツの環境は、一つのスポーツしか経験していない、1種目に特化し過ぎるケースが多い。運動に親しむ機会の少ない子供、苦手な子供もいる。やりたくても、指導者がいない、金銭的な理由で参加できないなどさまざまケースがある。体験格差ということも生まれている。

学校の活動を地域に移行するというだけではなく、社会教育として、いろんなスポーツがプロ化され、地域で行われている。フィットネスジムがあったり、ここ十数年でそういった土壌ができている。身体の機能を開拓し、体力が向上すると、どんなスポーツも楽しめるようになる。可能性を求め、地域・年齢・経済的格差をなくそうという試みだ。

一度に移行するというのではなく、まず、段階的に地域の学校が合同練習・合同部活を行うなど、できるものからやっていくことだ。地域のデコボコ感もあるが、できるスポーツ種目から順次進めていけばよいと考えている。指導者や場所が足らない、というところがあり、要請があれば、支援していく。スポーツをしていれば、その種目が上達するというのではなく、身体・気持ちをつくり上げるには、多種目、文化活動にも力を注いで、太鼓や神楽など文化活動も体を使うものがあり、スポーツの身体づくりにも生かせるものがある。

(太田和宏)

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