母親の立ち直る姿、ボランティア活動の原動力に

困窮する沖縄県内の女性に食糧支援をするボランティア団体「女性を元気にする会」代表のゴージャス理枝さんはこのほど、悩み相談ホットラインの「沖縄命(ぬち)の電話」(比嘉門雄山専務理事)が主催する集会(沖縄県那覇市の首里公民館)で記念講演した。沖縄県の子供の3人に1人は貧困で、県民所得は全国最下位、平均の7割程度(217万円)しかない。こうした中、女性にスポットを当てた支援策に共感の輪が広がっている。(沖縄支局・豊田 剛)


「女性を元気にする会」ゴージャス理枝代表が講演

母親の立ち直る姿、ボランティア活動の原動力に
児童養護施設での支援について話すゴージャス理枝さん=1月26日、沖縄県那覇市の首里公民館

ゴージャス理枝さんは自らがシングルマザーとして苦労してきた経験から、「女性を元気にする会」を2015年に発足させた。シングルマザーの多くが貧しい生活をし、負の連鎖に陥っている現実を目の当たりにすると、たったワンコイン(500円)でエステを体験できるイベントを開催した。美容に掛けるお金がなく、自信を失っている母親に少しでも輝きを取り戻してほしいという願いがあった。

18年には沖縄県最大の展示場で大イベントを行った。その際、入場料の代わりに、家に置いてあるレトルト食品や米などの保存食1品を持参してもらった。こうした会を重ねるうちに、ダンボール1箱分など大口の寄付者が続々と現れるようになった。

寄贈された食料を持って児童養護施設を訪問すると、ゴージャスさんは驚きの光景を目の当たりにした。冬の時期にもかかわらず子供たちは、半袖半ズボン姿で破れた靴を履いているのだ。

「自分たちにはサンタさんは来ない」。クリスマスの時期だけ預けられている子供たちもいるという。「プレゼントが欲しい」と泣きじゃくっていた子供にはプレゼントを渡しながら「来年も来るから笑って過ごすんだよ」(ゴージャスさん)と激励した。結果、エステサロンとして稼ぎ時でもある年末、店を閉めて沖縄本島内の児童養護施設を回ることにした。

本格的に宅食支援を始めたのは20年のこと。県内外の個人、企業、団体から食料が提供されるようになり、沖縄本島全体の支援が可能になった。新型コロナウイルス感染の拡大による影響からパートで家計を支えていたシングルマザーの生活はますます苦しくなった。現在は700世帯以上を訪問し、支援を続けている。

1回の訪問では2週間分相当の食料を支援する。乳児がいる家庭には紙おむつも配布している。「貧困家庭のお母さんのほとんどが1日1食で生活している。2週間、小麦粉を食べて生活する人も。ライフラインが止まってエアコンが使えない家庭もある」(ゴージャスさん)状況は予想以上に厳しい。

訪問支援で悩みを聞き取り、財政支援などの情報を伝達

ゴージャスさんが訪問支援をする際、大切にしているのがヒアリングだ。1軒当たり15分から30分かけて、現状や抱えている悩み、ニーズを聞き出す。それを受け、国や自治体が行っている財政支援や就労につながる情報を伝えている。ゴージャスさんは、「ここが最も重要なプロセス」だと強調する。

ゴージャスさんの活動が地元メディアで多く報じられるようになるにつれ、学校で講演する機会も増えた。講演すると生徒たちがどんどんアイデアを出してくれたり、活動をサポートしてくれるようになった。

自分の仕事を犠牲にしてまで、なぜそこまでボランティア活動に精を出すことができるのか。「母親が一歩踏み出して自立する姿を見るのが活動の原動力になっている」とゴージャスさんは目を輝かせながら答えた。

女性の自立支援に目覚めたきっかけとなったのがオーストラリア留学だ。「外見が派手な女性はどうして日本で受け入れられないのか。海外では自由なのに」と素朴な疑問を抱いたのだ。

帰国後、自分以外は全員男性の地元のコンピューター関連会社に入社すると、32歳の若さで取締役に就任。すると、女性が輝くことのできる、女性に優しい会社に改革していった。

2008年に退社すると、「たくさんの女性を元気にしたい」という思いからビューティーサロンを開設。ゴージャスというユニークな名前は、「緊急時にすぐ思い出して、SNSで検索してもらえるようにしてもらう」ためだという。ゴージャスさんの支援によって、自信と輝きを取り戻すことができる女性が少しずつ増えている。

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