書評の最新記事

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『北方領土を知るための63章』名越 健郎・大野 正美・常盤 伸・小泉 悠編著【書評】

 75年ほど前、私は札幌の小学生高学年だった。夏休みに銭函(ぜにばこ)海水浴場に汽車に乗って行った。海水浴期間は10日くらい。だから海水浴場は混み合っていた。

「山岳信仰と修験道」 鈴木正崇著【書評】

 著者によると、幕末に17万人いた修験者は、山岳修行で得た験力(げんりき)により、庶民の健康から経済、心の問題までの日常的な悩みの相談に乗り、解決を助けていた。それが慶應4(1868)年の神仏判然令と明治5年の修験宗廃止令で一挙に失職した影響は大きかった。

「凪の人 山野井妙子」柏澄子著 【書評】

 山野井妙子さんは世界的なアルペンクライマーだ。2002年には夫・山野井泰史さんと中国チベット自治区にあるギャチュン・カン(7952㍍)北壁に登り、その功績により夫婦で植村直己冒険賞を受賞。

『リベラリズムという妄想』 ジョン・J・ミアシャイマー著、新田 亨子訳【書評】

 国際政治学者として有名な米国シカゴ大学のジョン・J・ミアシャイマー氏は「現実主義(リアリズム)」、その中でも特に「攻撃的現実主義(オフェンシブ・リアリズム)」の論客として知られるが、この本はその視点から「リベラルな覇権」という外交政策を痛烈に批判した一冊だ。

『バッハ 無伴奏チェロ組曲』スティーヴン・イッサーリス著、松田 健訳 【書評】

 著者は英国を代表する世界的チェロ奏者。本書はバッハのチェロ組曲集について、たゆみない研究と演奏体験から独自の考察をつづったガイド。

真珠湾攻撃の“定説”覆す 『真珠湾攻撃 ルーズベルトは知っていた』 白松 繁著【書評】

先の大戦における日本軍による真珠湾攻撃について、フランクリン・ルーズベルト米大統領は直後の議会演説で「日本は意図的に合衆国を欺こうとした」と非難した。結果、日本軍が平和交渉中に通告なく「騙(だま)し討ち」したとの説が広がった。

大日の使徒 川越 宗一著 ザビエル案内したヤジロウ【書評】

 キリスト教の「デウス」を密教でいう大宇宙本体の大日如来に模して「ダイニチ」と訳したのは、ザビエルを日本に案内したヤジロウとされる。

「大人の幸せは静かだ」テス著 大嫌悪時代を平凡に生きる【書評】

 現代の韓国社会はとても生きにくい社会であるようだ。夢はかなえ難く、心に傷を負った人は多く、平凡な幸福さえ得ることが難しい。著者は30代後半のエッセイストで、このエッセー集は20万人もの読者が共感したベストセラー。平凡に生きることの中に豊かさのあることを気付かせてくれる。

匿名への情熱 和田純著 政治と学識結んだ楠田實【書評】

 産経新聞の政治記者だった楠田實が、ケネディ米大統領が優秀なブレーンとの対話を基に政権を運営したのを知り、佐藤栄作に同様のブレーン設置を提案したのは佐藤内閣誕生の1年前。

体験からの同時代史的言葉『言葉の風~人にも動物にも愛の風を~』【書評】

最近、日刊紙の「読者発言欄」などに80代後半くらいの方たちの「発言」が目立っている。管見だが、男性の場合、80歳という年齢は大きい人生の峠のようである。

小泉八雲「見えない日本」を見た人 畑中 章宏著【書評】

 ラフカディオ・ハーンの来日は明治23年で、29年に帰化して小泉八雲と名乗り、『怪談』などを著して37年に54歳で没した。

「中国」という捏造 ビル・ヘイトン著、小谷 まさ代訳 【書評】

 「中国はどのような国になろうとしているのか?」こうした問いから本書は始まる。この国の成長を商取引や投資のチャンスと捉える風潮がある一方、不安を抱かないものは少ない。

「地球の歩き方 ハプスブルク帝国」【書評】

 とうとうこのテーマの本が出版された、これが私の第一声であった。日本の大学では欧州各国史が主流なので、このテーマの講座はない。ご苦労様でしたと言いたい。

「中国に媚びるな」石 平・金 文学共著【書評】

 二人の著者が中国の国民性を主題にして日韓中の文化の違いを論じた対談集。対談はテーマを決めて8回行われ、月刊『WiLL』(2024年11月~25年5月号)に掲載された。

『定年後の日本人は世界一の楽園を生きる』 佐藤 優著 【書評】

 背任と偽計業務妨害容疑で逮捕され有罪確定になり、さらに「余命」宣告を受けるなど、波乱万丈な人生を生き抜いている評論家・佐藤優氏による定年後の人生の手ほどき本だ。 

「過去と思索(7)」ゲルツェン著 西欧の大変動の終焉を見る 【書評】

近代ロシアの知識人は国家の改革を推進するために西洋の知識と技術を学んだ。

外国人だから気付く特徴 「日本語教師、外国人に日本語を学ぶ」北村 浩子著 【書評】

 日本を訪れる外国人が増え続けている。観光地を巡ったり、美味(おい)しいものを食べたりするだけでなく、日本の文化、伝統を学び、その背景にある日本語に興味を持ち、学び続ける外国人もいる。

「コメ壊滅」 山口 亮子著 適正な価格形成は可能か 【書評】

 農水省出身の鈴木憲和農相は就任後の記者会見で、「価格はマーケットの中で決まるべきもの」と断言し、同時に現状で購入できない国民には、お米クーポンなどの対応が考えられるとした。

【書評】非日常に身を置き感性磨く 『インテグリティが浸透する コンプライアンス・カルチャーの創り方』中山達樹著

 2024年末に中居正広氏の女性アナウンサーに対する性的不祥事が発覚し、フジテレビの経営陣の辞任や企業体質への批判に発展した。これに代表されるように、最近、企業・組織で不祥事が後を絶たない。

【書評】「食料安全保障と農政改革」 荒川隆著 消費者交え合理的価格形成を

 気候変動をはじめコロナ禍やロシアのウクライナ侵攻を機に食料安全保障の重要性が認識されたのを背景に令和6年、食料・農業・農村基本法が改正された。

【書評】「田沼意次の時代」大石 慎三郎著 悪評覆し「優れた財政家」に

 田沼意次は日本史の中の三大悪人の一人とされ、賄賂によって政治を左右する最悪の政治家として評価されてきた。他の二人、弓削道鏡(ゆげのどうきょう)と足利尊氏は、敗戦で皇国史観が消えたことで評価が変わったが、田沼意次についてはそのまま。

「モンゴル帝国 草原のダイナミズムと女たち」 楊 海英著 【書評】

 ソ連崩壊後、中央アジアの諸国が独立することによって、ユーラシア大陸で繰り広げられたモンゴル史への研究視点が変わった。歴史の現場と史料群に直接立ち入ることができるようになり、かつて支配的だった中国やロシアを軸とした見方に修正が加えられる。

『電子を知れば科学がわかる』 世界を動かす小さな粒子 【書評】

 目に見えない小さな電子が、世界を動かしている。電気も化学反応も情報通信も、すべては電子の振る舞いに支えられている。江馬一弘著『電子を知れば科学がわかる』は、この一粒子を軸に科学の全体像を描き出す意欲作だ。

「稼ぐ小国」の戦略 関山 健・鹿島平和研究所編著【書評】

 最新の1人当たりGDP世界ランキングで日本は36位。韓国は31位、台湾は35位だ。上位10は7位の米国以外は小国で、特徴的な国家戦略で豊かさを確保している。

「起源でたどる日本語表現事典」 木部 暢子編著・中澤 光平・中西 太郎・平子 達也著 用法と語の由来から探る 【書評】

日本語は「孤立言語」である。つまり、日本語の起源やその系統も十分に解明されていない。

「天気のからくり」 坪木 和久著 観察体験に基づく気象学 【書評】

本書の帯紙に、観測気球からスマホで撮影した地球大気の写真が使われている。美しく感動的な画像で、地球の表面を白い大気が包んでいる。それは薄くて、少しまだらで、暗い宇宙との境目にほの青い靄(もや)が均一にかかっている。

「子どもは誰のものか?――離婚後「共同親権」が日本を救う」 嘉田 由紀子著  行き過ぎフェミニズムに警鐘 【書評】

離婚後に共同親権が認められるのが国際スタンダード。子供の精神的、経済的、社会的な安定につながり、結果として子供の幸せに資するとされる。どんな状況になろうと父親は父親、母親は母親なのだ。ところが、日本では現在、離婚後は父母のいずれか一方を親権者としなければならない「強制的単独親権制度」が採用されている。

「大人をお休みする日」文月 悠光著 自分育ての言葉の記録【書評】

著者は高校3年の処女詩集『適切な世界の適切ならざる私』で中原中也賞を過去最年少18歳で受賞した詩人。NHKテレビ「ことばと生きる」で辞書編さん者・飯間浩明氏との対談が面白くて近著を読んだ。

「赤ちゃんは世界をどう学んでいくのか」奥村 優子著 利他的で、学習の天才

人間の赤ちゃんは他の動物に比べて長期間、親に依存している。これまで無力で未熟な存在と考えられてきたが、最近の研究では、数の認識から善悪の判断に至るまで、驚くべき能力が備わっていることが明らかになっている。

「神聖ローマ帝国全皇帝伝」菊池 良生著 帝国君主たちの悪戦苦闘 【書評】

神聖ローマ帝国が誕生したのは、962年2月2日。東フランク王オットー1世(大帝)がローマのサン・ピエトロ大聖堂で教皇ヨハネス12世の司式により神聖ローマ帝国皇帝に即位した。やがてイングランド、フランス、教皇領を除き、ヨーロッパのほぼ全域を支配し、1806年8月6日、皇帝フランツ2世が神聖ローマ帝国の正式の解散を宣言した。
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