書評の最新記事

最新記事一覧

「起源でたどる日本語表現事典」 木部 暢子編著・中澤 光平・中西 太郎・平子 達也著 用法と語の由来から探る 【書評】

日本語は「孤立言語」である。つまり、日本語の起源やその系統も十分に解明されていない。

「天気のからくり」 坪木 和久著 観察体験に基づく気象学 【書評】

本書の帯紙に、観測気球からスマホで撮影した地球大気の写真が使われている。美しく感動的な画像で、地球の表面を白い大気が包んでいる。それは薄くて、少しまだらで、暗い宇宙との境目にほの青い靄(もや)が均一にかかっている。

「子どもは誰のものか?――離婚後「共同親権」が日本を救う」 嘉田 由紀子著  行き過ぎフェミニズムに警鐘 【書評】

離婚後に共同親権が認められるのが国際スタンダード。子供の精神的、経済的、社会的な安定につながり、結果として子供の幸せに資するとされる。どんな状況になろうと父親は父親、母親は母親なのだ。ところが、日本では現在、離婚後は父母のいずれか一方を親権者としなければならない「強制的単独親権制度」が採用されている。

「大人をお休みする日」文月 悠光著 自分育ての言葉の記録【書評】

著者は高校3年の処女詩集『適切な世界の適切ならざる私』で中原中也賞を過去最年少18歳で受賞した詩人。NHKテレビ「ことばと生きる」で辞書編さん者・飯間浩明氏との対談が面白くて近著を読んだ。

「赤ちゃんは世界をどう学んでいくのか」奥村 優子著 利他的で、学習の天才

人間の赤ちゃんは他の動物に比べて長期間、親に依存している。これまで無力で未熟な存在と考えられてきたが、最近の研究では、数の認識から善悪の判断に至るまで、驚くべき能力が備わっていることが明らかになっている。

「神聖ローマ帝国全皇帝伝」菊池 良生著 帝国君主たちの悪戦苦闘 【書評】

神聖ローマ帝国が誕生したのは、962年2月2日。東フランク王オットー1世(大帝)がローマのサン・ピエトロ大聖堂で教皇ヨハネス12世の司式により神聖ローマ帝国皇帝に即位した。やがてイングランド、フランス、教皇領を除き、ヨーロッパのほぼ全域を支配し、1806年8月6日、皇帝フランツ2世が神聖ローマ帝国の正式の解散を宣言した。

仏(ほとけ)と冠婚葬祭 玄侑 宗久・一条 真也著 有縁社会を取り戻すために 【書評】

コロナ禍で家族葬が主流になっている。島田裕巳氏の『葬式は、要らない』はその先取りだったかもしれないが、「葬式は必要~有縁社会をめざして」と反論したのが玄侑(げんゆう)氏。「葬儀という儀礼の持つ力で、ご遺族がある種の目覚めを体験し、踏ん切りをつけて歩み出すきっかけにしてほしい」からだ。それが葬儀の社会的側面である。

「過去と思索(6)」ゲルツェン著 ロシアで読まれた刊行物【書評】 

1852年8月、ロンドンにやって来たロシアの亡命貴族ゲルツェンは、さまざまな人物と出会い、交流を持つ。イタリアの革命家マッツィーニ、イギリスの社会主義者ロバート・オーエン、ロシアから来たドストエフスキーやバクーニン…。

朝1分 夢をかなえる習慣 武津 文雄著 人生は望むままに実現する【書籍】

20世紀後半、米国で活動したアイルランド出身の牧師ジョセフ・マーフィーの名言集。潜在意識を生かすことで自らや周りの人を成功、幸福へと導く「ポジティブシンキングの法則」を提唱したことで知られる。

空の時代の『中論』について 清水 高志著 仏教の根本思想を読み解く

大乗仏教の古典である龍樹の『中論』を、フランス哲学者が精緻に読み解いている。

『反日レイシズムの狂気 茂木 弘道著 客観的事実で反日デマを論破【書評】

「日本は3000万人というナチの1170万人を上回るホロコーストを行った」

『自然に生きる』 辰野 勇著  挑戦と冒険の人生は経営にも

著者が生まれたのは1947年、大阪府堺市。隣の奈良県側に金剛山(1125㍍)があった。大阪府下の最高峰で、登ったのは中学生の時。体験するすべてが新鮮だった。

『死が怖い人へ』 久坂部 羊著 人生が面白いと死を忘れる 【書評】

子供のころ死が怖かった著者は、医者になって多くの死を看取(みと)り、次第に怖くなくなったという。

『僕には鳥の言葉がわかる』鈴木俊貴著 動物も言語を使用している【書評】

著者は2022年8月、ストックホルムで開かれた国際行動生態学会で基調講演をし、「動物言語学」について語った。

『江戸東京 庶民信仰事典』 川副秀樹編著 身近な神仏融合の宗教史 【書評】

日本は縄文時代からのアニミズム的な庶民信仰が残っていて、土地の神信仰に親和的な仏教が広がった。それは、キリスト教が世界に広がった事情と比べて明らかだ。同時に、神信仰を吸収して仏教も変容した。「草木国土悉皆(しっかい)成仏(じょうぶつ)」の平安密教はインドや中国にはない思想で、哲学者の梅原猛は日本ならではの生命哲学と高く評価している。

『ふれあう読書 私の縁した百人一冊』(下)赤松正雄著 面白い交遊書評録 【書評】

ああ、なんと不思議な本!これが、本書をめくった私の第一声である。本のタイトルからすれば、ごく普通の書評集のようだが、私が今まで見たことがない中身である。一言で言えば、わが国の全国紙や雑誌でよく見かける「刺し身のつま」的な無味乾燥な書評では全くない。

『持続可能なメディア』下山進著 技術軽視の傾向を指摘【書評】

「持続可能」とは「生存」のこと。「平和」というイデオロギーを叫ぶだけで民間企業であるメディアが存続することはない。名著『2050年のメディア』(文春文庫)の著者のコラムをまとめたのがこの新書だ。

【書評】『生きる言葉』俵万智著 自分の心の音楽を言葉にする

初めての歌集『サラダ記念日』がベストセラーになり、目の回るような忙しさにあった著者が、恩師の佐佐木幸綱に言われたのは「君は、心の音楽を聴くことができる人だから、何があっても大丈夫」。そう、詩は心の音楽を言葉にしたものなのだ。

『明治維新という物語』宮間純一著 地域それぞれで異なる維新観 【書評】

明治維新とは何だったのか。著者はさまざまな地方に目を向け、維新との関わりを調べるとともに時の中で見方が変容していく様子も示していく。

『翻訳者の全技術』山形浩生著 9割の理解ができる翻訳で  【書評】

翻訳という仕事では、言語の壁にどう向き合っているのだろうか。著者がこれまで訳してきた書をみると、フランスの経済学者トマ・ピケティ氏著『21世紀の資本』(みすず書房)、ロシア大統領プーチン氏著『プーチン重要論説集』(星海社新書)、英国の作家ジョージ・オーウェル著『一九八四』(星海社、2024年)など。いずれも小難しそうという印象だ。

『歴史のダイヤグラム〈3号車〉』 原武史著 「あのとき」へのタイムトラベル  【書評】

何となく、そばに置いておきたい本、である。本書に収録されている81編のショート・エッセーは、3㌻弱で、しかも8×5㌢の関係写真付きである。全体が、第1章「時刻表から読み直す、あの事件」、第2章「皇族も政治家も、みんな鉄道を使っていた」、第3章「作家が愛した線路」、第4章「あの日の駅弁、思い出の車輛」、第5章「旅情の記憶」となっている。

『47都道府県・城下町百科』野間晴雄編著、山近博義・矢野司郎・関口靖之・石坂澄子著 【書評】

江戸幕府は元和元(1615)年、豊臣秀頼を大坂城で滅ぼした2代将軍徳川秀忠が一国一城令を出した。一国に大名が居城あるいは政庁とする城郭は一つに限り、その他は全て廃城にするという大名統制令。直後に出した武家諸法度(ぶけしょはっと)では新城建設、居城の無断修補を禁じた。

『裁判官の正体』井上薫著 元当事者が語った内幕【書評】

検事や弁護士は分かりやすいが、裁判官は分かりにくい。元裁判官が「裁判官はこういう者です」と語ったのがこの本だ。

『ハイエク入門』太子堂正称著 「自生的秩序」形成への道 【書評】

『隷属への道』の著者フリードリヒ・ハイエク(1899~1992年)は、ファシズムや共産主義など全体主義と対峙(たいじ)した経済学者として知られてきた。が、彼の経済理論は一般にはほとんど知られておらず、一貫して主張した「自生的秩序」論を理解するためにはその理解が不可欠だと著者は言う。

『こえび隊、跳ねる!』こえび隊編著、北川フラム監修 瀬戸芸を支えるボランティアたち【書評】

石破首相が看板政策の地方創生を進めるため、居住地以外で継続的に関わる自治体を登録する「ふるさと住民登録制度」を創設するという。

『アジア系アメリカを知るための53章』李里花編著歴史的背景と現在を描く【書評】

アメリカ合衆国の「アジア系」の人口は、現在、2400万人であり、総人口の約7・2%を占める。その最大国は中国系であり、19世紀半ばのゴールドラッシュに労働移民として大量入国する。

『潤日』舛友雄大著 形成される中国人コミュニティー【書評】

日本語ができないにもかかわらず、中国のアッパーミドル層を中心に日本へ居住希望の人々が増加している。友人の死をきっかけに、その背景にある理由や日本での中国人の暮らしぶりを著者が丹念に取材し、浮き彫りにしたのが本書だ。

『田んぼのまん中のポツンと神社』 えぬびい写真・文 圃場整備が生んだ日本的風景【書評】

田舎を旅すると、田んぼの中にポツンと立つ小さな神社をよく見かける。郷愁を感じさせる日本的風景の一つだ。廃虚や電話ボックス、秘境など各地の不思議な場所を取材している著者が、そんな神社を集めた写真集。関東から東北が多いのは水田開発の歴史による。

『中央線随筆傑作選』南陀楼綾繁編 沿線に芸術家・文化人が集う【書評】

中央線というのは、東京~名古屋を走る中央本線のうち、東京~高尾間のことを呼ぶそうだ。その前身、甲武鉄道が新宿~立川間を結んで開業したのは1889年。1906年に国有化された。

『正岡子規』坪内捻典著 現代日本語を作った俳句革命家【書評】

子規について司馬遼太郎は『坂の上の雲』で「俳句、短歌といった日本のふるい短詩型に新風を入れてその中興の祖になった」としている。
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