藤橋 進

信仰と人生を鮮烈に描く 岩波文庫から山根道公編『遠藤周作短篇集』

日本人とキリスト教というテーマを『沈黙』などの長編小説に描き、世界的にも高い評価を受ける遠藤周作(1923~96年)の短篇集が岩波文庫から出た。12の短篇小説と三つの思想的エッセーを収めたこの短篇集は、カトリック作家としての遠藤の原点と、思想的、文学的深化の跡をたどるものとなっている。

観る者引き込む謎に満ちた空間 東京都美術館「デ・キリコ展」を観る

「形而上絵画」と呼ばれる謎めいた絵画を残し、20世紀芸術に衝撃を与えたジョルジュ・デ・キリコを回顧する「デ・キリコ展」が東京・上野の東京都美術館で開かれている。

能登半島地震で中止の青柏祭「でか山」巡行

能登半島を代表する祭りの一つ、石川県七尾市の青柏祭(せいはくさい)。その中心行事である「でか山」の運行は、元日の地震被害で中止となったが、5月4日、大地主(おおとこぬし)神社で神事が営まれ、参列者が来年の「でか山」運行を誓った。

残せるか能登の伝統的景観

最大震度7を記録した能登半島地震では、多くの住宅被害が出た。倒壊した家屋の多くは古い木造建築で、黒い瓦屋根が倒れた柱や壁を覆っている光景が幾つも見られた。

名手による短編小説への誘い 阿部昭著「新編散文の基本」を読む

日本の近代文学では、短編小説の名作が幾つも生まれた。しかし、最近は短編が話題になる事はほとんどなくなった。文体の魅力、文章の彫琢などがより問われる短編小説の衰退は、文学そのものの衰退を意味する。そんな中で、戦後を代表する短編小説の名手、阿部昭の『新編散文の基本』(中公文庫)は、改めて短編小説の魅力を語りその世界に誘ってくれる。

邪馬台国=ヤマト王権説に傾斜 NHKスペシャルで古代史ミステリー

NHKスペシャルが「古代史ミステリー」と題して、日本国家の始まりを特集した。第1集「邪馬台国の謎に迫る」、第2集が「ヤマト王権空白の世紀」。最近の研究成果をもとに古代史の謎に迫ったもので、興味深いものだった。

ライバルを通し見る映画術 貴田庄著『小津安二郎と七人の監督』

昨年は日本映画の巨匠、小津安二郎の没後60年、生誕120年で関連本が相次いで出版された。貴田庄氏の『小津安二郎と七人の監督』(ちくま文庫)は、小津とほぼ同時代に活躍した7人の映画監督との対照から小津映画の秘密に迫っている。

切り紙絵で新境地開いた巨匠 国立新美術館「マティス 自由なフォルム」展

東京・六本木の国立新美術館で「マティス自由なフォルム」展が開かれている。20世紀美術の巨匠アンリ・マティスの後半生の活動の舞台となる南仏ニース市のマティス美術館の所蔵作品を中心に、最晩年の切り紙絵に焦点を当てた。マティス芸術の集大成となったヴァンスのロザリオ礼拝堂も再現展示している。

阿刀田高著『源氏物語を知っていますか』

『源氏物語』の作者、紫式部を主人公にしたNHK大河ドラマ「光る君へ」が始まり、世界最古の長編小説を本格的に読んでみようという人もいるだろう。いきなり古典の『源氏物語』は難しいから、谷崎潤一郎をはじめとした現代語訳を読もうという人も少なくないと思われるが、それも全10巻近くで容易ではない。そこで勧めたいのが阿刀田高氏の『源氏物語を知っていますか』(新潮文庫)だ。

渡辺保著『吉右衛門 「現代」を生きた歌舞伎役者』

「吉右衛門の訃報を聞いた時、私は足元の大地が崩れ落ちていくような、喪失感を味わった」

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