家庭
2009年2月16日

子供の携帯電話

なぜ学校に持ち込み禁止?

教師が指導しやすくなる/弊害について保護者の啓発必要



  小中学校では、携帯電話の持ち込みを原則禁止にするようにと、文部科学省の通達が出たのを知っている?


 綾 知ってるよ。でも、うちの中学では、すでに校則で禁止になっているから、あまり意味ないと思うけど。それに、高校生になるまでは携帯を持たせないのがわが家の方針なのだから、携帯を持たせてもらえない私には関係ないわ。


  確かに、九割以上の小中学校ですでに持ち込み禁止になっているそうだから、文科省の通達は遅きに失した観はあるな。それに、子供に携帯を持たせないで登校させるのは保護者の責任だと思う。通達が出たのは、校則で禁止になっていても学校に持って登校する子供が多いからではないか。


 綾 授業中に、着信音が鳴ったり、メールを打ったりする子供がいるのは事実だわ。


  “持ち込み禁止令”が出たおかげで、教師は子供に注意しやすくなるし、「持って来させないでほしい」と、保護者にも言いやすくなったから、学校側としては歓迎していると思う。だけど、これからはどれだけ指導を徹底できるのか、が課題だろうな。


 綾 学校に持ち込まないのは、最低限のルールだと思うけど、それだけでは子供の携帯使用の問題は解決しないでしょう。


  確かにそうだ。「学校裏サイト」でのいじめや「出会い系サイト」で援助交際を誘う書き込みは家に帰ってから、携帯を使えば簡単にできるからね。本当は、わが家の方針のように、最低、高校入学までは携帯を持たせないのがいいのだ。


 綾 それは無理な話だと思うわ。だって、小学生でも38%、中学生になると、66%も携帯持っているのだから。今からそれを取り上げるなんて不可能よ。


  子供に甘い親が多くなっているからな。ただ、自治体ぐるみで、子供に携帯を持たせない運動をやっているところがあって、その地域では子供の所有率がずいぶんと低いらしい。

 「みんなが持っているから、私も欲しい」と、子供に言われると、親は弱い。持ってないことで仲間外れになることもある。その点、地域全体で持たせない運動をやれば、子供を説得しやすい。この際、学校への持ち込み禁止令でとどめておかないで、持たせない運動を全国に広めるべきだな。携帯会社は大反対だろうけど。


 綾 でも、塾通いなどで夜遅くに外出する子供もいる。そんな場合には、携帯があった方が便利だよ。


  子供の安全を考えて、携帯を持たせる親の気持ちは理解できるが、携帯を持つことで、どれだけ安全につながっているのか、疑問だな。有害・違法情報を見たり、ネットを使った犯罪に巻き込まれたりする弊害の方が心配だ。


 綾 ネットにつながらない携帯を子供に持たせればいいと思うけど。


  最近は、子供の携帯使用の弊害が大きな社会問題になっているから、携帯会社は機能を限定した子供向けの携帯を発売しているようだ。親は子供が安心して使える機種を選んで与えることも、対策の一つだろうね。

 だけど、お父さんは、携帯会社には不信感を持っている。数年前から、携帯電話は大人に行き渡って飽和状態にある。そこで力を入れたのが子供への普及だ。子供が欲しくなるような機能を増やしたりしてね。今ごろになって、子供が使っても安全な携帯を出してくるなんて、こすっからいよ。


 綾 持たせた親にも責任あるんじゃない。


  それもある。東京都の調査では、保護者の七割は子供に携帯を持たせたくないと答えている。でも、実際は中学になると、七割近くは持っているわけだ。子供にねだられて、与えているのだろうな。


 綾 問題なのは、子供の携帯使用に、どれだけ危険が潜んでいるか、ということを知らない親が多いということじゃない。携帯については、親よりも子供の方が詳しいもの。


  その通り。子供に持たせない運動を全国に広める第一歩は、携帯がどんなに危険か、ということを保護者に知らせることだ。それには学校、地域、行政が一緒になって取り組むべきだろう。本当は、そこに携帯会社も加わった方がいい。弊害の多い携帯を子供にさんざん広めた罪滅ぼしだ。


 綾 お父さんは、携帯会社にだいぶ腹を立てているみたいだけど、企業は商売でやっているのだから、仕方がないと思うよ。


  いくら商売でも社会的責任というのがある。子供に使わせるなら、安全な商品にしてから、売らないといけない。


 綾 それも一理あるけど、その危険な携帯を自由に使わせている親も悪い。中学生までは持たせない運動を進めるにしても、高校生になったら、もうほとんどが所持しているのだから、正しく使うことを教えないといけないね。


  そうだな。夜中には使用しないとか、有害情報を遮断するフィルタリングを使うとか、家庭でしっかりとしたルールを作って使わせる必要がある。親がそれをできるか。子供の携帯利用は、家庭の教育力を問う課題でもある。

(森田清策)

(本紙掲載:2月15日)


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