デーリー・テレグラフ(英) 2010年7月26日
熱くなる朝鮮半島
朝鮮半島の周辺で生じる脅し合いっこは時として、単なるゲームにすぎないように見え得る。北朝鮮の金正日総書記の奇怪な悪ふざけは、長年にわたって、結構な喜劇になってきた。しかし、先週、米国が北朝鮮に対してあらためて制裁を実施し、北朝鮮が、米韓合同軍事演習に対して「聖戦」で対抗すると脅しているのは、双方ともに大真面目である。無意味な儀式ではない。
金正日氏は、ますます不安定化しているように見える政権に責任を持つ。この指導者自身、健康が優れず、息子の一人を後継者にしつつあると伝えられる。また、閣僚が処刑されたと言われているほか、対立する有力者がナゾめいた交通事故に巻き込まれて死亡したと言われる。
だれが優位にあるのかは、だれにもわからない。上海万博の北朝鮮パビリオンには、驚くべきことに金正日氏の写真が飾られていない。こういったことが、なぜ重要なのかといえば、それは、金正日氏が核兵器を保有し、最近は韓国の哨戒艦の撃沈を命じて数十人を死亡させ、無政府状態の寸前にあると推定される多数の飢えた国民を支配しているからだ。
北朝鮮に対して、かなりの影響力を持つ唯一の国は中国であるが、中国も良い選択肢は持ち合わせていない。中国が、その鼻先を米国や韓国の海軍の艦船がパトロールするのにうろたえているのは理解できるし、中国は、北朝鮮で反乱が起きて何百万人もの難民が国境を越えて押し寄せることを望んでいない。また中国は、北朝鮮と韓国が南北統一に成功して、政治的、経済的に中国の地域的な覇権に挑戦する事態になることにも用心している。
しかし中国は、国際的な主要国の一員として、より強力でより責任ある役割を果たしつつあり、その役割にふさわしい形でもっと行動的になるべきだ。韓国の哨戒艦沈没事件で中国が北朝鮮を非難するのに抵抗し、国連の強硬な声明をつぶしたのは嘆かわしい。中国は、イスラエルがガザへ向かう物資支援船を急襲したことを非難する際には、このような抵抗姿勢は示さなかった。中国は、北朝鮮に秩序正しい権力の移行と、多国間交渉を通じて地域との経済的な関係の改善を図るよう奨励することが中国の利益となることを受け入れるべきである。
北朝鮮が9月に、何十年ぶりかに朝鮮労働党の代表者会を開くと、この不確実性の雲はいくらか晴れるかもしれない。代表者会が、金正日氏の後継者が出現する瞬間となる可能性がある。その場合、20カ国・地域(G20)は、好都合にも韓国で11月に開催される首脳会議を、北朝鮮を励ます声を上げる場とすべきだ。金正日氏の後継政権を孤立状態から引き出す条件を提示する好機となろう。
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