ニューヨーク・タイムズ(米) 2009年11月2日
風力発電所のある光景
マサチューセッツ州沿岸沖での風力発電計画「ケープウインド」の推進者たちが、州、連邦政府による8年にわたる困難な環境調査が終わって、計画の成功を確信したのはもっともなことだった。しかし先住民のワンパノアグ族は内務省に対し、計130基の風力タービンの建設が予定されるナンタケット海峡一帯を「伝統的文化資産」に指定するよう要求した。建設の阻止を期待してのことだ。
ワンパノアグ族の当局者たちは、彼らは固有の文化によって日の出を毎日拝むことがしきたりになっており、それには遮るもののない視界を必要とすると言う。責任ある連邦、州の当局者は、この主張を退けるべきだ。新たにお役所的な調査を始めるのは、あまりにも長い時間をかけてきた承認手続きをさらに長引かせ、反対派に承認への努力を阻止する別の手段を見つける時間を与えることになる。
ワンパノアグ族の主張は支持できるものではないだろう。「伝統的文化資産」は一般的に、限定された地域が対象になっている。例えば儀式用の墓地がそれに当たるが、広大で、何にも囲まれていない大洋の一地域はそれに当たるまい。ナンタケット湾についてワンパノアグ族の主張を認めることは、海運業や漁業を含む他の多くの活動に法的な悪影響を及ぼす恐れがある。
ワンパノアグ族が、風力発電計画に反対する主要グループの「ナンタケット海峡保護同盟」と一体となって活動している証拠もある。同盟には多くの地元の人々が参加しているが、活動資金の大半を負担しているのは、高い風車を立てることを嫌う、ナンタケット島やケープコッドなどに住宅を所有する富裕層だ。
計画の承認手続きを監督する内務省の鉱物資源管理局は、反対派の主張は偽りだと確信している。しかしまだマサチューセッツ州の歴史遺産保護官の判断が示されていない。保護官が鉱物資源管理局に同意すれば(そうすべきだが)、あとはサラザール内務長官の判断に委ねられる。保護官が同意しなければ、内務省の国立公園局に回され、そこで再検討された後、サラザール長官に上げられる。
いずれにせよ長官は、風力発電計画を承認すべきだ。「ケープウインド」は、マサチューセッツ州政府と大多数の州民の支持を得ている。彼らは、地球温暖化を助長する火力発電所のクリーンな代替計画として、風力発電計画をとらえている。計画を拒否するのは、または遅らせるのさえも、「ケープウインド」に大きく後れを取っている他の開発業者に否定的なメッセージを送ることになる。
風力発電所は、欧州では見慣れた光景だ。もし米国が気候変動に対処するために自らの責任を果たすつもりなら、風力発電所が米国でもっと当たり前の光景になり、歓迎されるものにならなければならない。
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