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平成18年7月11日
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見直される自己抑制教育(1)

第一章 最新アメリカ性教育事情

 米国で結婚まで純潔を保つことの価値を教える「純潔教育」(自己抑制教育)を推進する団体が政府の支援を受けて活発に活動する中、六月上旬、米カンザスシティーで自己抑制教育指導者会議が開かれた。一方、これに照準を合わせ「包括的性教育」(コンドーム教育)を推進する米国性情報・教育評議会(SIECUS、シーカス)が自己抑制教育への政府支援を阻止しようと批判キャンペーンに打って出た。自己抑制教育に焦点が当たる中、若者の性非行が急速に進むわが国では、コンドーム教育一辺倒。自己抑制教育に及び腰のわが国政府の姿勢も浮き彫りとなった。
(「自己抑制教育」取材班)
第一部 カンザスシティーからの報告

推進団体が“プログラム見本市” 人生設計し性の悲劇回避は共通

「調査研究で内容充実」と自信

picture
アンルー会長
 「ハイ! 私のところの教育プログラムはいかが。これが教師用指導書でこれが生徒用テキストよ」――。

 笑顔で、きりっとした表情の女性が声を掛けてきた。辺り一帯、自己抑制教育のプログラムを紹介するブースが所狭しと並ぶ。

 米ミズーリ州カンザスシティーのホテルに六月六日から九日まで、全米からさまざまな自己抑制教育団体が集い、基調講演や分科会に参加した。ホテル一階のホールに設けられたブースは、さながら“自己抑制教育プログラム見本市”といった光景である。

 米国では今、熱心に自己抑制教育が進められており、小さい組織も入れると、その数は千にも及ぶという。その中には、仲間がペアで指輪をはめて純潔を守るために励まし合うプロテスタント牧師主宰のSILVER・RING・THING(シルバー・リング・シング)。二十年以上の実績を持つTEEN・AID(ティーン・エイド)。東南アジアでも実践され始めた新興のWAIT・TRAINING(ウエイト・トレーニング)などがある。

 カンザスシティーでの自己抑制指導者会議には、三十七団体が参加し、展示会場となったホテル一階のホールで売り込みを図ったのだった。

picture 参加者に教材を紹介する米自己抑制教育団体「フレンズ・ファースト」のメンバー=6月6日、ミズーリ州カンザスシティーのホテル
 声を掛けてきた女性はシカゴ(イリノイ州)を拠点とする自己抑制教育団体「プロジェクト・リアリティ」の会長、リビー・グレイ・マッケさん。そのプログラムはイリノイ州だけで、すでに十万人以上の若者が学んでいるという。

 そのほか、ポルノグラフィーの害毒を紹介するブース、奥さんがエイズにかかっている夫婦が主宰し性感染症、エイズの怖さを身をもって証しするブースも。

 このように、各団体にそれぞれ特色があるが、基本的に共通しているのは「結婚まで純潔を保つ」「人生の目標を明確にする」「人生設計を破壊する性感染症、エイズや望まない妊娠を避けるためにも自己抑制教育が必要」としている点だ。

 同会議を主催する自己抑制教育団体Abstinence Clearinghouse(アブスティナンス・クリアリングハウス=AC、サウスダコタ州)のレスリー・アンルー会長は、自己抑制教育の必要性や中絶反対を訴え続けてきた。

 一九九七年にACを設立し会長に就任したアンルー女史は「十年前、この会議をスタートした時は、家庭だけで教えるプログラムを持ち寄った夫婦の参加者が大半だった」と指摘。「今や、研究調査、科学技術の成果によって、自己抑制教育は評価が高まってきている」と誇らしげだ。

 ブッシュ大統領は、連邦政府の自己抑制教育に関する支援を増額、二〇〇三年には二億六百万ドルまで増やした。政府が自己抑制教育の必要性を評価し、そのプログラム支援が可能なのは、一九九六年、クリントン大統領(当時)の福祉改革法制定が大きい。

 コンドーム教育により、若者の望まない妊娠とそれによるシングルマザーがうなぎ上りに増えてきた米国では、その福祉面での財政負担が莫大(ばくだい)な額に達していた。その対策として自己抑制教育プログラム支援を可能にする同法の法制化が行われたわけである。

 アンルー会長は、サウスダコタ州で望まない妊娠をしたティーンエージャーにも出産を勧め、その子を養子に出せるようオーガナイズする施設を設立したほか、今年、同州で中絶禁止法を実現した人物。このため、シーカスからの攻撃も激しい。

 三年後、ブッシュ大統領が交代することの影響を問うと、「これはクリントン政権で実現したことであり大統領が代わっても全く問題ない」と、自信にあふれた表情で語った。


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