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平成15年12月19日

宮崎県都城市議会、“同・両性愛者”参画条例を可決

市長と共産党が先導/保守系は「市民に不安」と警告

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条例案に賛成し、採決で起立した保守派市議(左から4人まで)と民主党市議(右端)=18日、都城市市議会

 同性愛者、両性愛者が均等に政治・経済・社会的な利益を享受できるようにする宮崎県都城市の「男女共同参画社会づくり条例案」が十八日、同市市議会で十三対十二の僅差(きんさ)で可決された。

 「性的指向性」という言葉を「性的意識の対象がどこに向かうかを示す概念」と規定し、性の指向性にかかわらず、あらゆる分野で均等な利益享受を求め、市民、事業者、教育者らがその実現に向けて責務を担う条例案が制定されたのは、わが国で初めて。

 これにより、同・両性愛者の人たちの結婚や家族形成が事実上、保証されることになる。また、同市では、こうした社会づくりに市民が不満を表明した場合、「人権の侵害」として、「必要な措置を講じる」ことができる仕組みが整った。

 市議会では採決に先立ち、条例案に対して、賛成・反対討論が行われた。

 保守市政が提出した条例案にもかかわらず、共産党、社会・市民クラブが、率先して賛成討論。来住一人・共産党市議は、岩橋辰也市長や市当局、懇話会委員を「条例づくりに努力してきた」と称賛した。

 これに対し、保守系会派の市議から「男女共同参画条例なのに、なぜ性的指向性をうたうのか」「市民の不安は払しょくされていない」との反対意見が行われた。

 女性で唯一、意見表明した内村仁子市議(保守系)は「性的少数者の均等な利益享受を入れることで、日本古来の伝統が壊れないか心配だ」とし、「人権そのものを否定しているわけではない」と述べると、野党席からブーイングも。

 条例の中身に立ち入らず、「性的少数者の人権尊重か否か」で、同条例案の審議を持って行こうとする戦術を最後まで貫いた。

 条例案には、保守派議員が反対、社会・共産・民主党に公明党が賛成という完全なねじれ現象。保守系市議四人が賛成に回り、三人が退席したため僅差で可決された。

しこり残した拙速採決

 【解説】都城市の市議会は最終日の十八日、最後まで条例案が可決されるかどうか分からない緊迫した中で、賛成、反対の討論が続いた。傍聴席も超満員で、熱気に包まれる中、賛成、反対の双方が四人ずつ討論を展開。最後は、「市民に周知されていない条例案をなぜ拙速に採決するのか。不備があっても、結局、議会が決めたことになる」(徳留八郎市議)との良識も示された。

 市議会は国会と異なり、圧倒的に市長の力が強い。与党会派は市側が出した案に異論を唱えることはまずあり得ず、採決に際して賛否の討論が行われるのは極めて異例だ。

 同条例案についても、五期目に入った岩橋市長が、積極的な姿勢を表明。このため、問題なく可決にこぎつけるとみられていた。

 だが、その中身は問題が多いことを、本紙が九月、市長インタビューとともに報道。保守派市議も、「性的少数者」条項のみならず、「性の自己決定」など過激な項目が入っていることに懸念を抱き、慎重論が広がった。

 一方、条例案を提出した市側や市長は、引っ込みがつかなくなり、条例の中身そのものより、いかに可決に持っていくかが焦点となってしまった。その結果、共産党が最も市の提案を評価するという前代未聞の事態が生まれた。

 賛成討論した保守派市議でさえ、「議論を大いに行うことは必要なこと」と指摘。本紙の報道を契機に、同条例案に関し、与党会派の中で、議員自身がしっかり論議し、決断をすべきとの機運が高まった。

 人権尊重は議論するまでもなく当然のことだ。問題は、伝統的価値の混乱を招いてでも、条例の中身がもたらす社会づくりを行うべきかであり、それを大局的に判断するのが、市民代表の議会が行うべきことだ。

 その点をぼかし続け、異なる意見の中傷に終始した共産党など野党の発言は全く真摯(しんし)さに欠けたものだった。市長が野党勢力と手を結んで拙速な条例制定の選択をした今回の決着は、市民不在といわなければならない。

(山本 彰)



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