※世界日報社は米紙クリスチャン・サイエンス・モニターと提携しています。

2009年5月4日

米二大プロテスタント宗派−同性婚の牧師を公認か

 キリスト教会として同性愛にどう対応するかという長年の論争を経て、米国の二つの主流プロテスタント宗派が、長期間、一人の同性パートナーとだけ関係している牧師を地域の教会に受け入れることを検討している。

長老派総会−支部の過半数で決定
ルーテル教会−8月総会で提案へ

英国国教会伝統派「聖書と相いれない」

 信者五百万人を擁するルター派最大のアメリカ福音ルーテル教会(ELCA)の幹部会は、このほど、今年八月に開かれる全国総会にこうした提案を行うことを決めた。総会で多数の支持を得れば、この方針が正式に認められる。

 また、二百三十万人の信者を持つ長老派教会は昨年、総会で同様の提案を了承。正式に教会の方針となるには、百七十三カ所の支部の過半数が、六月までに承認しなければならない。

 こうした変革が快く受け入れられるかどうかは不透明だが、この動きは、同性愛に対する社会の見方の変化を反映すると同時に、旧来の考え方は崩れつつあるが、新しい合意もすぐにはまとまりそうにないという認識とも一致している。教会は、意見の相違に何とか折り合いをつけ、宗派の分裂を避けようと懸命だ。

 提案をまとめた、ELCA作業部会のピーター・ストロメン師は「同性愛を神学的にどう解釈するかについて、教会内の態度が変化したことは間違いない。篤実な信徒は、聖書と伝統に対する解釈を改め、これまでとは違った結論に至りつつある。十五年前には想像できなかったことだ」と指摘する。

 一般社会が、市民的結合や同性間結婚をめぐる議論を深める中で、ユナイテッド・チャーチ・オブ・クライストなど、幾つかの宗派は、同性愛者の結合や幹部聖職者への就任を支援する方向にかじを切った。だが、多くの宗派は、内部論争に揺れ、その結果、信者の教会離れを引き起こしている。

 英国国教会は、二〇〇三年に同性愛者の主教を認めたことから、伝統を重視する人々の離反を招いた。伝統派は「同性愛は聖書とは相いれない」と主張して新たな組織を米国で結成している。

 ELCAと長老派教会は既に、同性愛志向の者が聖職者になることまでは容認しているが、それでも聖職者は“独身”でなければならない。だが、〇七年のELCA総会では、多くの聖職者が公然とパートナーを紹介し、反旗を翻した。

 ELCA作業部会の提案はまた、合意に至らない場合でも、他の信者の良心を尊重することが神学的に正しく、「礼儀正しさと愛をもって生きるよう」促した。これについて、ストロメン師は「人々が異なった信条を持つのは、それぞれもっともな理由がある」と語る。

 一方で、教会が同性愛者を完全に受け入れるよう求めてきた人々には、満足と失望が相半ばしている。

 ELCAの急進的グループのエミリー・イーストウッド氏は「同性愛の牧師への差別的取り扱いを削除する提案が総会に提出されるのは初めてであり、正義と平等への大きな前進だ」と評価しながらも、作業部会が同性愛結婚の祝福儀式を是認しなかった点を、「同性愛カップルの結婚儀式を執り行うことなしに、パートナーへの貞節を維持することはできない」と批判する。

 今のところ長老派教会員の間では、パートナーのいる聖職者を許容するという提案の承認は難航気味だ。これまで、百七十三の支部のうち百十四カ所で投票が行われ、七十三が反対を表明した。ただし、以前は同性愛の聖職者に反対していた十九支部が、今回は賛成に転じている。

 長老派教会では、結婚と同等に扱わない限りにおいて、同性愛カップルの結合を祝福してもよい。同派は最近、キリスト教における同性愛の位置付けを検討する委員会を設置し、二〇一〇年までに結論を取りまとめるという。

(米紙「クリスチャン・サイエンス・モニター」特約)